トルコとメキシコの最低賃金が為替に与える影響
1月になり最低賃金が変更された国がいくつかあるのですが、その中で気になった国を紹介します。
まずはトルコです。トルコの最低賃金は、2029.5TRY/月から2558.4TRY/月に変更になり26.1%の上昇となりました。トルコのインフレ率は直近で20%程度ですが、昨年1年を通してみると、もう少し低い水準と思われます。そのため、最低賃金の上昇幅は、実質で7%〜10%位と思われます。これは、トルコの産業水準を顧慮するとやや高めの設定かなと思われます。
昨年トルコリラが暴落後、比較的すぐに回復した背景には、輸入の減少による貿易指標の改善がありました。しかし、今回最低賃金を大幅に上昇させたことで貿易指標が悪化し、暴落前の経済状況に近づいてしまう可能性がありそうです。
・2018年年初
「産業水準」 100
「生活水準」 150
このギャップを埋めるために、為替が暴落した。
・2018年末
「産業水準」 110 原油価格が低迷、観光客数が増加しているためややプラスだと推測。
「生活水準」 110 通貨が下落したことで、物価が上昇し、生活生活が悪化。
輸入が減少し、貿易指標の改善と共に、トルコリラも安定、上昇。個人消費が低迷したため、GDP成長率はマイナス。
・現在(最低賃金が上昇後)
「産業水準」 110
「生活水準」 ? 最低賃金が上昇したことで、個人消費の伸びが予想される。
もし、輸入額が急上昇したり、貿易指標の悪化が極端になるようなことがあれば、もう一度通貨の調整が必要になる可能性がある。
もう一つ、注目される国がメキシコです。メキシコの最低賃金は88.36MXN/日から102.68MXN/日となり、16.2%の上昇です。メキシコのインフレ率は4.85%なので、実質的には10%を超える大幅な最低賃金の上昇となります。
しかし、メキシコの実際の賃金水準は最低賃金に比べ高く、あまり最低賃金が制度として機能していないように見えます。そうなると最低賃金が大幅に上昇しましても、産業への影響は少ないと思われますが、一応気にはしておいた方が良いかなといったイメージです。
メキシコの貿易指標は貿易収支・経常赤字共に赤字で、これ以上の赤字避けたい水準ではあります。もし最低賃金の上昇が産業に影響を与えるようですと、メキシコペソへの影響も小さくない可能性があり、注意したいところです。