KAWASE BIIKI

ファンダメンタルズ分析 6-2 「ファンファメンタルズが悪い通貨の下落」

ファンダメンタルズ分析6−2

「ファンファメンタルズが悪い通貨の下落」

 

ファンダメンタルズ分析による為替投資において、もっとも積極的に狙っていきたいのが、「ファンダメンタルズが悪い通貨の下落」タイミングになります。

機会は限られますが、値幅が大きく経済指標に現れるため分かり易いことが特徴です。

 

ファンダメンタルズが悪いと言うことは、「『産業水準』が『生活水準』と比較して低い状態」ということです。この「産業水準」と「生活水準」との乖離が大きくなると、外貨の支払いが外国からの借入れや投資でまかなえなくなり、債務の返済額が増加する共に、通貨が下落していきます。中長期(数ヶ月〜数年)で徐々に値を切り下げていき、何らかのきっかけで急下落することもあります。

 

1995年〜のアジア通貨危機や2018年8月のトルコリラはこの典型例となり、また、他国通貨にペッグしている通貨がペッグを止めざるを得なくなり、急下落するものファンダメンタルズの悪化が原因です。

その他、リーマンショック(2008年10月)や、バーナンキショック(2013年5月)で新興国通貨が大きく下落したのも、下落のきっかけは異なりますが、下落幅が大きくなる理由は、ファンダメンタルズが極端に悪かったことが考えられます。

 

ちなみにファンダメンタルズが良い通貨では、急激な変動は稀になります。狙いやすいのは圧倒的にファンダメンタルズが悪い通貨の下落のほうです。

 

 

 

☆経済指標と相場の確認

「ファンファメンタルズが悪い通貨の下落」を狙うに場合に注目する経済指標は、

 

・経常収支 GDP比 −3% 注意

           −5% 危険

(米国・英国は貿易に使用される通貨の割合が高いため、数%程度の経常赤字は許容される)

・対外債務 GDP比  50%以上(新興国)

            80%以上(高格付け先進国)

・インフレ率 10%

(本質的なファンダメンタルズの悪さを示しているわけではないのですが、インフレ率が高い方が債務の借換が大変という意味)

 

と比較的シンプルです。さらに金融市場環境として、

 

・金融市場全体がリスクオフ

・市場参加者が少ない

 

等が上げられます。

 

経常収支幅が大きく悪化している国の通貨を定点観測し、債務の返済がどうなっているのかに注目する見つけやすいと思います。

 

 

 

☆具体例

2018年8月のトルコリラの急落を具体例としてみていきます。

 

2017年末のトルコの経済指標を確認。

 

経常赤字 対GDP比      - 5.5%

対外債務 対GDP比     約 53%

インフレ率         10.3%

 

失業率                            10.4%

 

全体的にかなり悪い数字となります。

この2017年末の時点ですでにトルコリラの下落は続いているのですが、経常収支は悪化、対外債務は増加していました。つまり、「産業水準」の成長より、「生活水準(個人消費)」の伸びのほうが早かったということになります。これは、トルコ政府が内需の拡大により、経済を成長させようとした結果と推測されます。

 

金融市場環境の確認

・米国の金融政策の緊縮化(バランスシート縮小・政策金利の上昇)

・ECBの債権買い取り額の縮小

・その他各国の中央銀行が利上げ

 

2017年後半ごろから世界の中央銀行で緊縮的な金融政策が増加しました。そのため、投資資金をリスクの高い投資先から引き揚げる動きが増え、トルコなどの新興国から主要国へ資金が流れやすい環境となっていました。

 

そして運命の8月を迎えます。

 

・8月はバカンスシーズンで市場参加者が少ない。

・トルコリラ建て債券は日本人個人投資家に人気の金融商品ですが、日本もお盆前のため売買が低調。

・休日前金曜。

・トルコの銀行が月央から休みに入るため、決済用の米国ドル需要が増加した。(トルコリラ売り、米国ドル買い)

 

などトルコリラが売られやすい環境が重なり、8月10日(日本時間)午後に大幅な下落となりました。

ここまでファンダメンタルズが悪化している場合は、金融政策が(為替の上昇には)全く効かないというのが特徴でしょう。中央銀行が政策金利を実質的に引き上げているにもかかわらず、通貨の下落が止められないというのは一つの目安になると思います。

 

 

 

 

| ファンダメンタルズ分析 | 18:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
<< ファンダメンタルズ分析7-1 「実質実効為替レートの回帰性」 | main | ファンダメンタルズ分析 6 - 1 「為替取引  概要」 >>









http://kawase-biiki.com/trackback/1003
■ LATEST ENTRIES
■ CATEGORIES
■ ARCHIVES
■ SEARCH
■ LINKS
■ PROFILE