2016.01.07 Thursday
リスクオフ相場の予行演習
年明けは、4日連続でリスクオフ相場が続いています。中東・北朝鮮と地政学的なリスク懸念もありますが、本筋は中国経済だと思われます。昨年8月の人民元安→中国株安→世界的リスクオフと同じです。あのときが予行演習で、今回が本番のような流れになっています。ただ正直、実際は、今回もまだ練習で、本番のリスクオフ相場は先に待っているような気がしています。
今後のリスクオフ時の対応のためにも、今回の動きは参考にしておきたいところです。年初からの変化をまとめます。
まず比較的強かった通貨の、昨年末比・対アメリカドルでの変化率です。(リアルタイムで数値が大きく動いてますので、各通貨ごとの誤差が大きくなります。ご了承ください。)
? | ? | 変化率? |
?日本円? | ? | ?2.1% |
?シンガポールドル | ? | −1.3% |
?ユーロ | ? | ?−0.2% |
?イギリスポンド | ? | ?−1.2% |
?スイスフラン | ? | ?0.0% |
?スウェーデンクローナ | ? | ?−1.4% |
※アメリカドルインデックス(DXY)は同期間0.1%の上昇です。
日本の独歩高です。強い順に日本円・スイスフラン・アメリカドル、典型的なリスクオフのときの順位と見ていいと思います。日本円が強いのは、対オセアニア通貨でのキャリートレードの巻き戻しの影響でしょうか。その他、昨日ぐらいまではヨーロッパの通貨が全般的に弱目という印象は受けました。
次に下落率が大きかった通貨です。各種属性も(ざっくりですが)まとめてみます。
? | ? | 変化率? | 中国関連 | 産油国? | 新興国 |
オーストラリアドル? | ? | ?−3.7% | ◎ | △ | ? |
ニュージーランドドル | ? | ?−3.0% | ◎ | ? | ? |
中国人民元 | ? | ?−1.9% | ーーーー? | ? | 〇 |
ノルウェークローネ | ? | ?−1.7% | no data | ◎ | ? |
ロシアルーブル | ? | ?−3.2% | 〇 | ◎ | 〇 |
ポーランドズロチ | ? | ?−2.4% | ? | ? | 〇 |
トルコリラ | ? | ?−3.4% | ? | ? | 〇 |
南アフリカランド | ? | ?−3.9% | ◎ | ? | 〇 |
カナダドル | ? | ?−2.1% | ? | 〇 | ? |
ブラジルレアル | ? | ?−2.0% | 〇 | △ | 〇 |
メキシコペソ | ? | ?−2.4% | ? | 〇 | 〇 |
中国への輸出が多い、オーストラリアドル・ニュージーランドドル・南アフリカランドが大きく下落しています。同じく中国との関連が深い、日本円・シンガポールドルは強いため、中国だけが理由ではないのでしょうが、今回のリスクオフが中国経済・中国市場の影響によって起こったことを表していると思います。私もよく忘れるのですが、南アフリカは、中国への輸出率が大きいので注意が必要です。
産油国は満遍なく下落、ポーランドとトルコは地政学上のリスクの関連でしょうか。その他にもちろんキャリートレードの巻き戻しの影響もあると思われます。
最後はコモデティです。代表的なものだけですが。
? | ? | ? 変化率 |
金? | ? | 3.7% |
銀 | ? | ?1.6% |
白金 | ? | ?−2.6% |
パラジウム | ? | ?−11.0% |
原油(WTI) | ? | ?−10.7% |
銅 | ? | ?−2.8% |
鉄鉱 | ? | ?−2.3% |
やはり、原油価格の下落が目立ちます。金・銀が上昇していることが、リスクオフ相場の動きを良く表していると思います。パラジウムは南アフリカの主要輸出品でしょうか。影響が心配されます。ここに書かなかったコモディティも、金属を中心に下落基調のものが多かったです。
中国経済の影響に原油価格の下落が加わっているため、データが読みづらいところもありますが、基本的にはリスクオフの流れが見えたような気がします。これ以上あまり大きな流れにならないことを祈りたいですが、どんな状況にも対応したポートフォリオを目指したいところです。
元データ「TRADING ECONOMICS」