KAWASE BIIKI

アメリカドルと経常赤字

日本円全面高、アメリカドル下落で週明け市場は始まっています。昨年11月の大統領選挙以降のアメリカドル高の動きが、先週の大統領就任式で終わり、巻き戻しが強くなった印象でしょうか。NAFTAの再交渉などの動きはありますが、材料が市場の動きを作っているという雰囲気では無さそうです。

 

 

アメリカドルをアメリカの産業から考えます。

アメリカドルインデックスは正月前後に、103ポイント台をつけ、これがピークで2002~03年以来の値になっています。また実質実効レートで見ても、同じ頃の値になっています。アメリカドルの水準は2002年頃と同水準のようです。

その頃の経常収支と比較してみますと、2002年の経常収支は、対GDP比−5.1%と大きなもので、ドルは下落基調を見せていました。経常収支は、その後2006年に−5.8%まで悪化します。これに対し2016年の経常収支は、−2%の後半だと予想されます。あまり良い数値ではありませんが、2002年と比較すると、改善されています。

同程度の為替水準で、経常収支が改善していることは、交易条件の改善、産業の強化を意味します。2002年から2016年にかけ、アメリカの産業は強くなっていることです。

 

2002年は、アメリカの住宅バブルが拡大する真っ最中です。金融工学の発達により、家計債務が増え、個人消費に回りました。これがアメリカの経済を支えるのですが、経常赤字は拡大しました。つまり外貨を稼げる産業が成長せず。債務拡大による成長だったため、中長期的には維持不可能な成長だったということです。

ドルインデックスは2006年頃に80ポイント台まで下落、それでも、アメリカの経常赤字は改善しませんでした。2007年のサブプライム危機、2008年リーマンショックを経て、一旦リスクオフで、アメリカドルが買われますが、FRBの量的緩和が開始され、ドル安の時代になります。

現在のアメリカはどうでしょうか、グーグル・アマゾン・フェイスブックといったグローバルなITサービス大手はアメリカ企業です。アップルもマイクロソフトも健在、製造業では、半導体や精密・製薬などの高度製造業は順調。そして、シェールエネルギーの開発です。エネルギーコストを一変させ、アメリカは2020年代にはエネルギー資源輸出国になると予想されています。

このように、アメリカの産業は高度化し、外貨を稼ぐ能力が強化されています。これが、経常収支の改善につながったということです。

 

もうひとつの要因は、世界的な低金利でしょうか、現在は利上げ局面ですが、それでも、2002年頃に比べれば、大幅な低金利です。アメリカの債務は海外に依存しいる部分も多く、利払いの減少は大幅な交易条件の改善になります。政府の対外債務は増えていて、民間の債務がどのくらいなのかも不明な部分もありますが、2002年頃から増えていた、危ない債務は減っているのかもしれません(いや、それはないな)。

 

 

経常収支が改善されているとはいえ、アメリカが、大幅な経常赤字であることに変化はありません。現在のアメリカドルの水準はやはり高めで、持続不可能なものと思われます。大統領が替わり、産業政策も変化していくと思われます。経常収支の数字だけでなく、産業がどのように変化していくのかも、見定めていきたいところです。

 

| コラム | 13:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
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