KAWASE BIIKI

南アフリカランドの好調をどう見るか

落ち着いた相場展開といいますか、方向感がない雰囲気の為替市場です。材料もないでしょうから、仕方が無いですね。

 

先行きが見通しにくい為替市場で、最近好調なのが南アフリカランドです。同じ新興国のトルコリラが大きく下落した中で、値を伸ばしています。昨年2016年、大きく上昇しました。特に下半期は準主要通貨の中で、最高の上昇と言っていいと思います。そしてその動きが年明けも続いているようです。中期的に見て、上昇局面にいるのは確かなのですが、この好調をどのように解釈すれば良いのか、個人的にちょっと困っています。

 

2016年は春から、プラチナ・パラジウム・金といった貴金属、ベースメタルの価格が上昇、価格上昇に伴い、数年来閉鎖していた炭鉱での採掘も始まり、採掘量も増えているようです。輸入している原油価格の下落もあり、交易条件は大幅に改善しました。貿易収支は2016年前半は黒字の月が増えました。昨年末から通貨が大きく下落したトルコと比べますと、対外債務が少なく、自国通貨立ての割合が高いのも特徴です。トルコリラの下落の引き金になった長期債の金利も、2016年はどちらかというと下落基調でした。インフレ率は上昇しているため、実質金利・リスクプレミアムが減少しています。ここまでは良い話。

相変わらず30%近い高い失業率・電力不足・高い経常赤字は現在まだ改善されていません。政治的な不安定さも残っています。リスクが低い状況ではないということです。

 

 

2016年は南アフリカへの直接投資が上昇しています。貴金属・ベースメタル上昇に伴う、資源開発系の資金が流入してきたと思われます。この流れは今後もしばらく続くと予想します。

長期債の買い手ですが、金利を求めた、欧州系の機関投資家やヘッジファンドが考えられます。そして、日本からの投資も増えていると思います。機関投資家・個人投資家ともに、金利を求める動きはあったでしょう。当然FX投資家の規模も無視できないと考えられます。年末から現在にかけては、今までトルコに投資していた投資主体も、南アフリカに投資を始めたのではないでしょうか。

こういった、金利を求めた投資の場合、保有期間は長いのですが、逃げ出すときは一気に逃げ足を早めるイメージがあります。このタイミングが鍵になると思います。

 

今後の予想ですが、難しいです。足下の動きは、昨年上半期の資源価格の影響を反映したもので、その後の変動はまだ織り込まれてい無いため、ここを確かめたいところです。3月に2016年4Qの経常収支が発表されるので注目です。赤字改善が大幅ならば、現状の動きは長く続きそうですし、改善が小さければ、天井は近そうです。足下での懸念材料は、原油価格の上昇でしょうか。エネルギーは完全に輸入に頼っているため、これが大きく上昇することになれば、鉱物系資源の上昇の影響も相殺されてしまいそうです。

 

 

貴金属価格が想定していたより堅調に推移しているため、南アフリカの交易条件も割といいように思えます。しかしどこか、さすがにこれは上昇しすぎではないのかとも思ってしまっていて不安があります。足下でインフレ率が上昇しているのも気がかりです。長期金利が上昇するようであれば、高インフレは資本流出を起こす確率が高くなり心配です。

ここまで大きく上昇してきた通貨です。下落の余地は案外大きくなっていると思われます。

 

| コラム | 13:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
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