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イギリスポンドは復活するか

イギリスのEU離脱が来週にも正式に通達され、離脱交渉がいよいよ始まるようです。昨年は大きな話題となったイギリスポンドですが、その現状を調べます。

 

 

イギリスポンドは、昨年5月のEU離脱の国民投票で、大きく下落しました。下落幅は、実質実効ペースで2割となっていて、現在も、ほぼこの水準で推移しています。この水準は、リーマンショック直後とほぼ同じで、イギリスポンド史上最安値付近と考えられます。通常の先進国通貨ならば、ここまで下落すれば割安になっていると思われるのですが、どうも、そう簡単ではないようです。

 

イギリスの経常収支は2015年がGDP比−5.2%でした。これは先進国としては、異常値といってもいいほど悪い値です。この貿易環境で、通貨の維持は困難です。昨年の大幅下落は、この貿易の弱さが本質的な原因でした。成長力のある産業が乏しいのも問題ですが、必要以上に高い生活水準がより大きな問題なのだと思います。

通貨ポンドが下落したため、直近では、経常収支・貿易収支はやや改善傾向にあります。輸出が大きく増えているのですが、輸入やや増加傾向にあり、まだ大きめな、経常・貿易収支が残っている状態です。これでは、現在のポンドの水準ですら、持続不可能と言っていいと考えられます。

今後期待できる産業としては、シェールガス・オイルの採掘があります。イギリスは現在も産油国ですが、シェール開発はまだほとんど手つかずになってます。埋蔵量はソコソコあるようで、アメリカ企業辺りが開発をはじめれば、産業として成り立つようです。

 

イギリスは海外からの直接投資を多く受け入れていて、これが経常赤字を穴埋めし、通貨を支える構図になっています。この投資は、昨年の国民投票後も続いていて、この投資水準が続くようであれば、ポンドの水準も維持が可能だと思われます。

しかし、投資資金というのは何らかのリスクオフ環境になった場合は急速に細り、逆に出ていく資金が多くなるものです。次にイギリスポンドが下落するのは、この投資資金が流出する時期ではないでしょうか。ただ、その時期がいつになるのかというのは、推測するのが非常に困難なものです。

 

 

現状では、イギリスポンドが復活する可能性は低いと思われます。これからも、しばらくの間は低迷しそうな雰囲気です。隣のユーロ圏は、経常収支の改善が顕著になっていて、ここに差ができてしまっています。イギリス経済は進化が必要な段階ですが、今回のEU離脱は、その方向を逆に向けている気がしてなりません。

 

 

| コラム | 08:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
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