KAWASE BIIKI

サウジアラビアリヤルはドルペッグ制を維持できるか

原油価格がWTI1バレル=49ドル台まで上昇。一時期の42ドル台からは急回復となりました。原油の需要期ということもあり、アメリカ原油在庫は順調に減少中。とりあえず市場は安定したのかもしれません。

 

 

そんな原油相場の中、中東サウジアラビアの通貨リアルに注目です。

サウジアラビアリヤルはアメリカドルとのペッグ制を採用していて、1アメリカドル=3.75サウジアラビアリヤルで固定されています。サウジアラビアの経常収支は、原油価格下落の影響もあり赤字で、また、資本フローも大幅なマイナスとなっています。つまり、サウジアラビアから大量に資金が流出しているのですが、それにもかかわらず、為替が固定していることになります。

 

この状態ですと、為替相場を支えるために、外貨準備を利用した通貨の買い入れが必要になります。しかし心配なことに、サウジアラビアではこの外貨準備が急速に減少してしまっています。外貨準備が大きく落ち始めた2015年1月の水準と比較すると、現在のところ33%の減少で、2年半で外貨準備の3分の1を使用していることになります。

この間外貨獲得として、SWF(政府系ファンド)の資産売却や、国債の発行を行ったのですが、まかないきれていないようです。

 

そのため、ドルペッグ制の維持に疑問符がもたれています。正直なところ、現状の数字を見る限りは、このままのドルペッグ制の維持は厳しいところがあるかなとも思います。外貨準備の減少が急激であるにもかかわらず、サウジアラビア側でなんの対策もできていません。今後は2018年に国有石油企業サウジアラムコの上場が控えているのですが、もしこのIPOが成立したとしても、時間稼ぎに過ぎないかなと思っています。

それでも、今後は原油価格が大幅に上昇する可能性も残っているため、サウジアラビア側としては、原油上昇による交易条件の改善に期待しているという状況なのだと思います。

 

サウジアラビアはOPECの減産を主導するなど中東の盟主としての地位を保っています。一方、イエメンへの軍事侵攻やカタールとの断交など、周辺諸国との関係は複雑なものがあります。複雑さを増す中東情勢ですが、為替が不安定化することになりますと、より一層の混迷を深めることになりそうです。

 

 

| コラム | 07:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
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