KAWASE BIIKI

クレジットサイクルの転換と為替

週明けの為替市場はリスクオンの展開といいますか日本円安です。先週の相場がそのまま巻き戻されているような感じです。ここからは、材料も少なそうなので、しばらくは動きも穏やかになるかなと思っています。

 

 

世界的に債務残高が増加しています。主要先進国では、金融政策の変化もあり、この債務のリスク部分が少し気になるところです。

 

新興国では、2008年のリーマンショック後に債務残高が急拡大して、現在はリーマンショック前の水準を軽く超えています。これは、金融市場がグローバル化したことで、新興国の政府や企業が、世界市場で債務を調達することができるようになったのが大きな要因です。また、新興国国内でも、金融機関が発達し、国が豊かになったことで、企業の資金需要の増加、住宅ローン・消費者ローン市場の拡大なども、債務残高増加の要因となっています。

一方、主要先進国ではどうでしょうか、企業債務はそれ程拡大していません。リーマンショック後に大きく減少して以降、その水準まで回復はせずに、最近になりようやく少しづつ増加が始まった様子です。これは、リーマンショック後の金融規制によって、企業への貸し出しが厳格化したことの影響と思われます。また、政府債務は拡大傾向にありますが、これも新興国ほどの伸び率ではありません。

 

一般に債務の増大局面では、金融市場はリスクオンになります。借金をして株式を購入し(レバレッジの増加)、株価は上昇します。債券市場では、より信用力の低い国への資金流入見られるようになります。為替はこの債券の流れに同調し、新興国通貨が高くなります。

債務縮小局面では、この逆に、株価は下落し、資金は主要国に戻ってくるため、為替は主要国通貨高になり、リスクオフ相場になります。

 

現状はどうでしょうか、新興国では、債務が増加中です。しかし、水準から鑑みて、ここから大きく増加することは考えにくいところです。現状の貸し出しの中にも、かなり質の悪いものがあり、不良債権の増加が問題になりそうです。先進国では、債務自体のノビは今ひとつなのですが、中央銀行による、金融政策の緊縮化が見られ始めているところです。これは、理論上は債務を縮小されやすい効果を持ちます。

つまり、全体的に、リーマンショック後のクレジットの拡大局面から、クレジットの縮小局面への転換が始まったか、もうすぐ始まろうとしているぐらいへと変化しつつあるような気がします。

 

もしこのようなクレジットサイクルの転換が起こるとするならば、為替市場は忙しくなると予想されます。クレジット縮小局面での、新興国通貨から主要国通貨への資金の流れは急速で、リーマンショック時には数ヶ月で30%以上下落した通貨が多数存在しました。(リーマンショックを例えに出すのはあまり適切では無いのですが)現状割高水準の通貨はカナダドル・ニュージーランドドル・イギリスポンド・トルコリラ辺りでしょうか、この辺りの通貨は大幅な調整がなされると考えられます。

 

 

正直なところ、先進主要国ではまだ、債務の増加余地がかなりあると思っていますし、実際に増加するでしょう。この辺りで、先進主要国と新興国間のクレジットサイクルにズレができるような気がします。世界の市場はつながってはいますが、金融政策や景況感、債務残高は当然、国や地域ごとに異なるものになっています。世界全体がリスクオン・リスクオフになる訳では無く、なにか複雑な動きになるのでは無いかと予想しています。

しばらくのリスクオン相場の後、長く大幅な調整が起こるような気がします。きっかけは、全く予想できませんが、とりあえずは、アメリカの株式市場の下落辺りが目立ちやすいところなのではないでしょうか。

 

 

| コラム | 13:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
<< イギリスポンドを万年弱気予想する理由 | main | 金融市場から見た鉱山資源の偏在性 >>









http://kawase-biiki.com/trackback/904
■ LATEST ENTRIES
■ CATEGORIES
■ ARCHIVES
■ SEARCH
■ LINKS
■ PROFILE