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カナダ中銀の利上げは興味深い

足元では、日本円が独歩安で、ややリスクオンの展開。短期的には、いろいろな材料が日々消費されていますが、長期的な視点で見ても重要な転換点が迫っているように思えます。注目はカナダです。

 

今月、カナダ中央銀行が政策金利の引き上げを決定しました。政策金利は0.25%上がり、1.0%となりました。政策金利の引き上げは2か月連続になります。カナダの失業率はリーマンショック後では最低水準にあり、経済も拡大中です。2015年ごろには、資源価格下落の影響もあり、マイナス成長の時期もありましたが、足元では回復してきています。そのような経済と、1%程度のインフレ率を考えると、政策金利の水準は妥当性があります。中央銀行の強気の姿勢を見る限り、もう少し上昇するのかもしれません。

 

ここで考えたいのが、政策金利を上昇させたことによる不動産価格への影響です。カナダでは不動産価格が上昇を続けていて、トロントやバンクーバーといった主要都市では、所得に対する不動産価格の割合が、世界最高の水準で不動産バブルが指摘されています。

中国や東南アジアの富裕層を中心とした、移民が増加したほか、それらの地域からの不動産への投資が活発化しました。また、世界を対象にした不動産投資信託が増加したことも、この地域の不動産価格の上昇要因になっています。

最近になり、外国籍による不動産取得規制や住宅ローン審査の厳格化、中国の資本流出規制等の効果が出てきたのか、主要都市では価格の下落が始まったという情報もありますが、カナダ全土でみた場合では、不動産価格の上昇は続いているようです。

 

そして、今回の利上げです。政策金利の利上げは、住宅ローン金利の上昇に直結します。住宅ローンの支払額の増加はシンプルに需要減少につながるため、より明確に不動産バブルを潰すことになりそうです。といいますか、今回の利上げの目的こそが、この不動産バブル潰しだったのだと思われます。カナダ中銀が明確に信用バブルを潰しに来たということです。そういった意味で、カナダ中銀のこの2か月の動きというのは、大変に興味深いものがあります。

 

今回の不動産バブルは、カナダの他、世界の主要都市でも起きています(カナダはかなり悪いほうの水準)。遠因としては、世界的な緩和政策があったような気がします。住宅ローンが低金利化したため、不動産開発が大きくのびました。また、債券金利が低下しているため、利回りを求める資金が、不動産に流れてきました。ここら辺は、リーマンショック前の世界の不動産と、当時緩和的な金融政策をとっていた日本銀行の動きと同じものと思えます。

 

アメリカが利上げを行い、カナダも利上げを始めました。何かが変わるような気がします。(大きな動きは、もう少し先になりそうですが)さて私たちは、どう動けばよいでしょうか。考えを始めるには今秋はちょうど良い季節になりそうです。

 

| コラム | 11:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
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