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原油価格の上昇と為替への影響

目先の為替は動きがないわけではないですが、大きくは動かなそうな雰囲気。ユーロドルの頭が重くなってきたこともあり、一相場終わった感があります。そんな中原油価格の上昇が顕著になってきました。産油国通貨の動きをもう一度確認したいところです。

 

原油価格は北海ブレントが1バレル=57ドル台で推移、一時は59ドル台まで上昇し、2015年7月以来の高値水準です。WTIは1バレル=52ドル台での推移となっていて、スプレッドが広がっています。このスプレッドの広がりは、アメリカの南部を襲ったハリケーンの影響などが考えられます。

EIAの原油在庫統計を見てみますと、原油在庫は直近増加傾向。水準はほぼ前年と同水準です。ガソリンは前年比大幅減少、直近の減少幅が大きくなっています。ディスティレート(留出油)の在庫もガソリンと同じく、前年比、直近共に大幅減少になっています。全体としては、前年比で減少傾向になっています。原油とガソリン・ディスティレートの直近の傾向が異なるのは、これもハリケーンの影響です。

この前年比で在庫が大幅に減っているという現象は、シェールオイルの生産が急増した後の、ここ数年には無かった現象です。新興国を中心とした需要の伸びが在庫減少につながったと考えられます。新興国は景気が拡大基調にあるため、この旺盛な需要の増加はしばらくは続くことになりそうです。

 

原油価格の上昇の為替への影響を考えます。当然、原油輸出国通貨にはプラスの材料なのですが、個別に見ていきますと、割とグダグダです。

まず、代表的な産油国通貨ロシアルーブルですが、これは、中長期で買い予想で良いと思います。しかし、今年前半の原油価格下落の際に、それ程値が落ちて無く、現在水準もそれ程割安ではないので注意が必要です。次はノルウェークローネですが、こちらはどちらかというと、天然ガス価格の影響を大きく受ける通貨です。天然ガス価格は原油価格ほど明確な上昇局面ではなく、もう少し様子を見たい状況といったところでしょうか。カナダ・メキシコは、経常赤字が大きくなってきたため、この値をどれだけ小さくできるかが鍵を握りそうです。ここ数ヶ月上昇傾向にあった通貨ですが、水準は割高とみられ、現状では売り目線で見た方が安全だと思われます。

原油輸入国通貨では、ニュージーランドドル・トルコリラ・南アフリカランド辺りは注意が必要でしょうか、経常赤字が大きくなっているときに、交易条件の悪化材料が加わるため、貿易的に大変厳しいものになると思われます。また、日本・中国・ユーロ圏辺りの経常収支の変化にも気を配っておきたいところとなります。

 

 

今回の原油価格の上昇は、クルド人自治区の住民投票といった、政治的なイベントがあったための一時的なものでしょう。しかし、需給を見てみても、年初にあったような供給過剰感は完全に解消されているため、今後も原油価格は底堅く推移しそうです。

アメリカのシェールオイルの掘削状況等を横目に見ながら、来年以降の原油相場を予想するのに良い時期なのかもしれません。

 

 

| コラム | 09:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
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