KAWASE BIIKI

産油国通貨の憂鬱

為替相場は、先月に一旦リスクオフが強まりましたが、現在は解消、落ち着いた相場になっています。年末も近づいていることもあり、値動きは小さくなるのかもしれません。

 

原油価格と産油国通貨の話です。

原油価格は、今年は年後半に上昇。現在の価格はWTI1バレル=56ドル台で推移しています。7月に45ドルを割っていたことを考えますと、そこから3割程度上昇したことになります。今年前半に見られた供給過剰感は払拭され、需給・在庫水準は安定しています。需要が旺盛なことから、原油価格はこれからも底堅く推移すると考えられます。ただし足下では投機筋による買い持ち額が最高水準を更新しているため、今回の相場はこの辺りが天井なのかもしれません。

来年2018年にかけましては、需要・供給ともに増加が予想されています。成長する新興国と、安定した世界経済が需要を支え、シェールオイルなどの増産により、供給量も増加すると考えられています。原油価格自体は、需給均衡のため、現在水準付近での値動きが想定されます。

 

この原油価格水準での産油国通貨を考えます。

今年の産油国通貨の値動きは芳しいものではありませんでした。原油価格と共に底は打っているのですが、伸びきらないと言いますか、上昇できていない状態です。

カナダやメキシコは経常・貿易赤字で、数値的にも良くありません。経常黒字国である、ロシアやノルウェーもさすがに2013年辺りと比べると、経常黒字幅が大幅に縮小していて、黒字額がほぼ「無い」と言っても過言ではない水準まで低下しています。足下で改善傾向は見られるのですが、現在の原油相場を見る限りは大幅な回復は厳しいと考えられます。ロシアはOPECとの協調減産をしているため、産油量が減少中。これが経常収支を悪化させています。

2018年も、もしWTIが60ドル強まで上昇したとしても、産油国の交易条件に与える影響は限定的なものとなりそうです。カナダやメキシコでは、原油価格の上昇よりも、資金がアメリカや他の主要国へ流れていく動きの方が大きくなるため、為替が下落すると予想されます。ここからの産油国通貨はやや厳しめに動くことになりそうです。

 

そしてもう一つ考えなければいけないのが、サウジアラビアの通貨「リヤル」です。リヤルはドルペッグ制を採っているため、価格水準が大きく割高で推移しています。原油価格の下落と共に、売り圧力が強まったリヤルをサウジアラビアの外貨準備によって、買い支えているの現状です。現在の外貨準備の水準を見る限りは、あと数年程度は我慢できるかもしれませんが、現実的には来年にドルペッグ制の廃止の可能性があり、その場合は中東地域を中心に、経済の混乱に見舞われることになりそうです。

 

 

 

個人的には、もう少し原油の需給が逼迫し、原油価格も急騰する可能性も予想したのですが、なかなかそうはならないようです。シェールオイルの機動力はやはり凄いものがあります。

低い原油価格は、ユーロ圏・日本・韓国などの非産油国にとっては恩恵をもたらすことにもなります。来年も非産油工業国通貨を、上昇する通貨の中心と予想したいと考えています。

 

| コラム | 14:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
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