KAWASE BIIKI

メキシコペソは許されたのか

タイトルの「許されたのか」にあまり意味は無くて、メキシコペソが上昇しているという話です。

 

メキシコペソが上昇しています、1月中旬につけた最安値から対アメリカドルで1割の上昇。非常に強い動きになっています。メキシコペソは、2014年末から2年間以上大きく下落(対アメリカドルで40%以上)していましたが、底を打ったことが確認できたと言っていいでしょう。

 

メキシコペソが長期停滞していた背景は、原油安とアメリカのトランプ大統領の貿易政策です。原油価格は2014年後半から2016年年初にかけ急下落し、産油国であるメキシコの交易条件は大きく悪化しました。ここでまずメキシコペソは下落します。2016年春以降、原油価格が急回復し、ロシアなど他の産油国通貨は大きく上昇しましたが、メキシコペソは下落を続けました。これが、アメリカトランプ大統領(当時大統領候補)の貿易政策の影響です。メキシコからの輸出の7割は対アメリカとなっていて、メキシコの貿易はアメリカに依存しています。ここに関税(国境税?)を掛けるというのですから、メキシコにとっては大きな打撃になります。これが実施されるとするならば、メキシコの貿易・経済は破綻に近い状態になると考えられます。

 

足下でのこの貿易政策の動きは、徐々に概要が固まりつつあるように感じますが、先行きは読めません。これは、貿易に関することは大統領令だけでは決めづらく、WTOルールによるの制限や予算の兼ね合いもあるため、議会との調整も必要なためです。現在、トランプ大統領の案より、共和党議会案の方を採用する方向に向かっているようですが、分かりません。どちらにせよ、メキシコ貿易にとって厳しいのは確かです。NAFTA(北米自由協定)の変更や2国間協議など、局面は複雑なものになっています。

 

現在は原油価格は安定、貿易政策は時間がかかるということから、メキシコペソの売り圧力が大きく低下し、巻き戻しの買いが入っている状況です。メキシコの実経済自体はそれ程悪くなく、むしろ新興国の中では、かなり良い部類と思われます。通貨安を背景にした貿易収支の改善がもう少し見たいところですが、現状問題になるようなことはありません。今後、原油生産インフラの改善やシェールガスの開発がメキシコ経済を握る鍵になりそうです。製造業はアメリカ一辺倒からの脱却が望まれますが、短期間では難しいかもしれません。日本企業を含めた、海外企業の誘致が、どのように変化するのかを見極める必要があります。その他では観光業は伸びる余地は大きそうです。

 

 

メキシコペソの水準感を考えると、今後上昇の確率は高く、上昇幅も結構大きくなると予想されます。まだ乗り遅れているという段階ではないため、積極的に上値を狙う戦略が最優先されるべきと思われます。リスクは当然ながら、アメリカ側の動きです、アメリカ大統領のつぶやきではなく、長期的な貿易戦略の動きを注視していきたいものです。

 

 

| コラム | 13:08 | comments(0) | trackbacks(0) |

リスクオフ時のポジション構築へ

為替市場はリスクオフの雰囲気が徐々に強まっている気がしますが、理由が分かっていません。特に材料はなく、リスクオフといいますか、昨年のアメリカ大統領選挙後の動きが、巻き戻されているのかもしれません。このタイミングで、ポジションの変更を推奨したいと思います。

 

 

昨年末の予想では、産油国通貨買い・アメリカドル売りをメインに考えてきましたが、天然ガス価格が下落、原油価格に一服感がああるなど局面が変化しています。産油国通貨の動きが落ち着いた感じがします。やや早い感じはしますが、産油国通貨のポジションはそろそろ仕舞いで良いかなと思います。

 

新たに構築したいポジションの基準は以下の通りです。

1.中・長期のファンダメンタルズ

2.リスクオフ環境での動きに対応する。 

 

 

この基準で通貨を選択しますと、

 

☆買いで持ちたい通貨

・日本円(JPY)

・ユーロ(EUR)

 

☆売りで持ちたい通貨

・ニュージーランドドル(NZD)

・イギリスポンド(GBP)

・ポーランドズロチ(PLN)

・南アフリカランド(ZAR)

 

 

となります。全通貨くりっく365対応なので、組み合わせはしやすいかなと思います。売りがニュージーランドドルと南アフリカランドだけになりますと、足下でのキャリートレードのような動きに対応しづらくなるため、ポーランドズロチを有効に使用していきたいところです。アメリカドルはファンダメンタルズ的には売りですが、リスクオフ時には上昇しやすい通貨と見ていますので、触らないほうが良いとみています。買いで持ちたい通貨をもう一つぐらい増やしたいのですが、ユーロと近い動きをするスイスフランぐらいしか候補が見つからず、厳しいところです。

 

 

☆通貨ペア

・NZD/JPY  売

・PLN/JPY  売

・EUR/GBP  買

 

通貨ペアで考えるとこの辺りでしょうか。NZD/JPYのペアを基軸に起きたいところです。日本円の水準感が微妙なため、日本円安局面が弱点となります。

 

 

実際のところは、直近はそこまでリスクオフに怯えなくでも良いところだと思われます。ただ、なんとなくいやな雰囲気があるのは事実です。リスクオフのきっかけになるのは、アメリカダウ平均の下落でしょうか。アメリカの次回利上げ後の動きに注目です。

 

| コラム | 13:51 | comments(0) | trackbacks(0) |

主要国のインフレ率が上昇中

主要国のインフレ率が上昇しています。

 

・主要国、資源国のインフレ率の変化

2016.7 2016.10 2017.1
アメリカ 0.8 1.6 2.5
ユーロ圏 0.2 0.5 1.8
中国 1.8 2.1 2.5
日本(※) −0.4 0.1 0.3
イギリス 0.6 0.9 1.8
オーストラリア(※) 1.0 1.3 1.5
ブラジル 8.7 7.9 5.8
ロシア 7.2 6.1 5.0

年率換算(%)

 

元データ:「teading economics」

※日本の2017.1は公表前のため2016.12で代用

※オーストラリアのデータは季毎のため、それぞれ2016.2Q・3Q・4Qで代用

 

 

主要国ではリーマンショック後インフレ率が低下していましたが、昨年夏頃から上昇を始めています。直近では上昇幅が広がっているようです。

 

要因としましては、ひとつは資源価格の高騰です。資源価格は昨年2月頃に底を打ち、そこから急上昇中です。エネルギー資源のみならず、鉱物資源で上昇率が大きくなっています。主要国では資源を輸入して使用しているため、輸入物価の高騰がインフレ率を押し上げることになります。今後も資源価格は上昇すると予想されていて、また、今までの資源価格の上昇が、いまだ物価に反映されていない部分も多くあることから、物価の上昇は続くと考えられます。

 

もうひとつは中国の影響です。中国では不良債権処理の一環として、過剰設備・過剰生産の削減が行われています。そのため、製品の供給が減少しています。そこに人件費の高騰も加わるため、物価を上げざるを得ない状況です。政府の景気対策としての、インフラ整備拡大も影響していると思われます。中国のPPI(生産者物価指数)は、昨年夏頃まではマイナスで推移していましたが、ここにきて急上昇しています(資源価格上昇の影響も含まれます)。

 

インフレ率上昇の影響として、各国の金融政策の変更が考えられます。スウェーデンでは量的緩和の縮小(テーパリング)が行われ、アメリカでは利上げの議論が進んでいます。しかし、インフレ率の上昇に比べ、金利の上昇が遅いため、実質金利が低下し、金融政策としましては、より緩和的な方向へと推移しているとも考えられます。

また、強力な量的緩和を行っている、日銀やECBでは、現状の緩和的な方針が変更される可能性が低く、物価の上昇と共に、金融緩和が強化されることになりそうです。資源国では、インフレ率が低下するため、実質金利が上昇し、日本・欧州から資源国へ資金が流れるキャリトレードが拡大することになりそうです。為替への影響ではここが一番大きいかもしれません。

 

経済への影響では個人消費への影響が大きそうです。物価のみが上昇し、可処分所得が伸びなければ、消費を減少させるか、信用を増加させるかしか方法はありません。この場合の信用の拡大は、単なる時間稼ぎであまり意味はありません。可処分所得が増加した場合でも、企業収益が伴っていない場合は、企業業績の悪化、不良債権の増加へとつながることになります。

また、インフレ率の上昇そのものに、強制的な信用の収縮の機能があるため、貸し出しが物価の上昇に合わせて拡大しないようですと資金繰りが悪化することになりそうです。名目的な利払いが増加するため、企業は一層の経営体力が必要となりそうです。

 

 

昨年までの資源国インフレ・主要国ディスインフレから、主要国インフレ・資源国ディスインフレに世界は急変化しました。こうした動きは影響が幅広く、長期にわたるため、その場しのぎの対応はなく、本格的な意識の変化が求められます。為替の動きに対応するためにも、まずは、今までの常識的な物価水準・金利水準というものを、頭の中から捨て去るということが重要になると思われます。

 

| コラム | 17:21 | comments(0) | trackbacks(0) |

世界はバブルか

昨年末に今年の為替予想をするために、いろいろとデータを見たのですが、新興国を中心に債務が増大していることが気になりました。ここ数年で政府債務だけでなく、民間(企業)債務、家計債務が大幅に増大しています。

 

2008年後半のリーマンショックの後、日米欧を中心に金融緩和が拡大し、実質金利が低下しました。世界的なインフレ率の低下から、名目の貸出金利は大幅に低下し、これが借り手が債務を増大させやすくなる原因になりました。BRICsを中心とした新興国では、この時期にインフラ投資を拡大したため、国債が増加、さらに国民所得の拡大と共に、金融機関が発展し、企業・家計の借金を増やしました。国際金融が発達したことも世界的な債務増加を促しました。新興国の企業が、先進国の金融機関から資金を調達することが容易になっているため、外国通貨建ての企業債務も増加しているようです。

面白いのは、日米欧の主要国で家計債務が大きく落ち込んでいることです(国債は増大)。中央銀行の量的緩和のため実質金利低下の影響は先進国の方が大きいと思われますが、先進国での家計債務は増加していません。リーマンショックの反省といいますか、金融機関の態度が変化していると考えられます。

 

問題になるのはこれからの経済情勢です。資源価格の上昇を理由に、昨年後半からインフレ率が世界的に上昇しています。これに伴い、債券が売られ、金利が上昇、債務の返済額が増加することになります。実質の金利が上昇していなければ、理論的には返済の負担は変わらないのですが、実際には返済が滞ることが多くなります。不良債権が増え、金融機関には厳しい時期になりそうです。金融機関への規制が強化されているため、国際的な金融危機になる可能性は少ないですが、新興国の成長に影響を与えそうです。また、レバレッジをかけ投資が行われている不動産や投資商品の分野では、大幅な調整が起こる可能性もあります。

 

よりマクロ的な視点で見た場合では、次に信用収集が起こった場合に、その次のBRICsがいないということが問題になりそうです。インドなどの南アジアやアフリカ各国には、投資余力がありますが、2009年の中国のインフラ投資ほどのインパクトを求めるのは難しいでしょう。また、日本や欧州では、これ以上の金融緩和余地が少ないというのも問題になってくると思われます。

 

 

現状の段階で、世界中の信用が急収縮する理由はまだ無いでしょう。むしろ、アメリカではトランプ大統領の政策の影響で、債務の増大が予測されます。怖いのは債権利回りが急上昇した場合なのですが、市場には耐えられるバッファーがもう少し残っているように見えます。信用が収縮する兆候が現れるのは、最初は株式、次は不動産辺りでしょうか。日本だけでなく、世界の市況をくまなく見ていきたいところです。

 

| コラム | 12:03 | comments(0) | trackbacks(0) |

日本円水準の確認

二日連続のリスクオフの環境のようで、新興国通貨が売られています。昨日は対ユーロで、本日は対ドルで売られているように見えます。材料は分かりませんが、資源国への投資に一服感があります。そんな中、強い動きを見せているのが日本円といったところでしょうか。二日続けての値上がりとなります。

 

日本円は昨年の米国大統領選挙後に大きく値を下げました。2016年末までの動きでは、メキシコペソやトルコリラといった暴落したと言われる通貨と同様の動きを見せていました。年明けはアメリカドルの天井感もあり、値を戻し始めています。最近の動きの特徴としましては、日本円全面高や日本円全面安といった、極端な動きを見せているということでしょうか。値幅も大きく不安定な様相を示しています。

 

昨年後半の急下落局面では、シカゴ短期筋のポジションを示すIMM先物ポジションが日本円売りに大きく傾き、これが日本円下落の要因になりました。米国ドルの上昇も重なったため、動きは大きく感じられました。この動きは本質的に短期のもので、ファンダメンタルズの裏付けが弱いため、中期的に修正される可能性の高いものです。

足下では、投機筋のポジションは大きな動きはありません。どちらかという売りポジションを減らしている様子ですが、大きな動きとはいえない水準です。

日本円のファンダメンタルズを考えますと、経常収支・貿易収支は改善していますし、資源価格の上昇の影響はまだ無いようです。足下で下落する要因は少ないと思われます。といいますか、下落する場合よりも上昇する場合の方が、(上記の修正のため)値動きが大きくなるのではないかと思われます。そして、上昇する動きになるのは、いつも通りリスクオフと呼ばれる状況になるときです。新興国の動き、特にこれからは金利水準などに注意する必要がありそうです。

 

 

日本円の動きというのは特徴的で、あまり真ん中にはいないイメージがあります。ボラティリティが大きいという言い方ではないのですが、なんか難しい動きをする通貨だと思います。世界経済のリスクが高まれば買われ、リスクが低くなると売られるというリトマス試験紙のような通貨になっていますが、他の通貨を予想する場合にもその水準感を確かめておきたいものです。

| コラム | 20:17 | comments(0) | trackbacks(0) |

中国人民元の水準を維持することに意味は無い

中国人民元の動きが比較的安定期に入っているようです。春節前の時期は外貨の需要が増えるらしいため、どのような動きになるのか注目していましたが、特に目立った動きにはなっていません。

 

 

昨年7月以降、中国人民元の実効レートを示すCFETC・RMBインデックスは、数%程度のレンジで推移しています。1米ドル=7人民元よりは下落させないという噂がありますが、確かにその水準の近くになると、人為的とみられる急な為替の動きがあり、人民銀行による為替介入が行われている様子がうかがえます。昨年11月のアメリカ大統領選挙以降、アメリカドルが強めに動いたため、この水準の維持は厳しいものがあったと思われます。

 

為替介入に使用する外貨準備高ですが、3兆ドルをやや割った水準まで減少しています。この値は、中国が貿易で必要と考えられる水準の下限に近づいていると思われ、これ以上の為替介入による外貨準備の消費は難しくなる水準です。

為替介入以外の方法による人民元水準の維持のため、中国政府は海外への送金や外貨の取得の制限を強めています。中国企業による海外企業の買収を規制したり、海外への投資用の外貨取得の禁止、銀聯カードの使用額の制限やビットコインの購入まで事細かく制限が入っているようです。外貨取得に対してはこれまでも規制はあったと思われますが、ここまで厳しく制限するのは近年では初めてのことでしょう。人民元の国際化を遅らせてまで、為替水準を維持しようとしているところに中国政府の危機感が感じられます。

 

今後の動きを考えますと、1米ドル=7人民元を長期的に維持するのは難しいと思われます。インフレ率が米国より中国の方が高いため、実質実効的に同じ水準を維持しようとすると、人民元に(名目的な)下落圧力が掛かります。もちろんアメリカドルが短期で下落する可能性は十分高く、しばらくはこの水準の維持が可能とも考えられますが、特に意味を持たない行為です。さらに、中国の交易条件が悪化しているのも気がかりです、経常収支、貿易収支が徐々にですが悪化中しています。資源価格の上昇の影響が考えられ、これがさらに人民元を下落させる材料になりそうです。

 

 

中国は基本的には経常黒字国のため、貿易外の資本の移動がなければ、為替は上昇しやすい環境です。しかし、海外に進出する中国企業も増えている状況では、海外への送金が増えるのは致し方なく、それによる人民元の下落は受け入れるべきだと思います。今回の規制は中国経済への悪影響も小さくないでしょう、短期名目上の目的達成のため、成長を鈍化させるのはやめてほしいものです。

 

| コラム | 11:02 | comments(0) | trackbacks(0) |

オーストラリアドルの再評価

アメリカドルが上値が重い展開で、全体的に方向感が見えにくい雰囲気です。日本円はやや上昇方向でしょうか。アメリカの原油在庫の増加が気になるところです。

 

 

オーストラリアの貿易収支が急回復しています。2月2日に発表された貿易収支が35.1億AUDと過去最高を更新しました。2ヶ月前まで貿易赤字で、過去十年を見ても、赤字の時期が長いオーストラリアでこの数値は驚きです。オーストラリアといえばGDP比−4.6%という巨額の経常赤字が問題ですが、これが一気に解消に向かう程度の大幅な改善になっています。

 

要因としましては、主要輸出品の資源価格の上昇です。鉄鉱石は昨年同時期の87%、石炭は53%(これでも足下では下落中)、アルミニウムは22%上昇しています。中国や新興国でインフラ投資が加速し、需要が増えているほか、中国の過剰生産設備解消の影響で、供給が急減速していることが影響しているようです。前回資源価格が高騰していた2011年から2012年の水準ほどではないですが、高値圏で推移しやすい環境のようで、この流れはしばらく続きそうです。

 

オーストラリアドルは、リーマンショックの急落後は、資源価格の上昇に伴い2011年まで急上昇、2013年まで高値圏で推移しました。そこから2015年末にかけ、実質実効為替レートベースで2割ほど下落し、昨年2016年はやや上昇しています。ここからの動きは資源価格次第であると思っていましたが、これが、想像よりも大きく改善しているようで、今後の上昇が期待できます。

ただ、オーストラリア経済は現在マイナス成長で、失業率もやや悪化中、住宅バブルも懸念されます。中国経済の動き次第では、資源価格の変化が大きくなり、緩和的な金融政策をとる必要が出てくる局面も考えられ、リスクが全くないという状態ではありません。

 

 

資源価格の上昇は、2017年のメインテーマの一つです。オーストラリアはこの恩恵を最も受けた国の一つではないでしょうか、資源開発の投資案件も増加するでしょうし、国債が高格付けであるため、資本の流出懸念が少ないのも高評価です。オーストラリアドルの今後の予想を一段階格上げする必要がありそうです。

 

| コラム | 07:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
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