KAWASE BIIKI

アメリカ個人貯蓄率の低下とその影響

為替市場は、少しずつボラティリティが出てきた状態。日本円から見ると一方的が動きに見えますが、アメリカ主導な様子です。2月は弱めな動きになったユーロも、ようやく底を見た感じでしょうか。暦も3月になり、ここから新しい相場が始まりそうな雰囲気です。

 

世界の株価が急下落するなど、リスクの高まりに関心が向けられる中、最近少し気になるのが、アメリカの貯蓄率の低下です。世界の民間・個人債務が増加する中で、その対岸にある貯蓄はいくつかの国で減少しています。

 

★各国の個人貯蓄率の推移

2014〜15年の値

(アバウト)

直近の値
・アメリカ 5%台 2.4%
・イギリス 9%台 5.5%
・カナダ  4%台 2.6%
・オーストラリア 8%台

3.2%

 

※ 日本は増加、ユーロ圏は微減

 

データ元 「Trading Economics」

 

 

アメリカの個人貯蓄率の現在の値は、リーマンショックの最低値で、リーマンショック前を含めましても、ほぼ最低水準です。個人の債務がこれ以上増えにくい状態で、貯蓄が減少しているとなれば、将来的には消費が減少することにつながりそうです。

アメリカの個人消費は足下で堅調ですが、自動車の販売台数が減少しています。これはローンが組みにくくなっていることと関係しています。そうなりますと、この後はクレジットカード(リボ払い)を使用して買い物をしそうな、耐久消費財や高額商品の販売が鈍くなり、その後に一般消費財に影響を与えることになると考えられます。(住宅はいわずもがな)

 

また貯蓄率の低下は、株式市場にも影響を与えます。米国の各株式指数と個人貯蓄率には逆相関の関係があることが知られていて、これ以上個人貯蓄率が低下出来ないような現在の水準は、株価指数が天井に近いことを表していると推測されます。(貯蓄率はまだ減少の余地はなくはないですが・・・。)これは個人が株式を購入する余力が無くなっているためだと、または金利が上昇する中で、株式から預貯金への資産シフトが増えるためだと考えられます。もし、米国の株式市場が天井を付けるようですと、ここまでの相場環境が一変するとこになりそうです。

 

 

昨年2017年は為替市場は動きが少なく、世界経済も株式市場もちょうど良い状況と言われていました。そんな中で起こっていたのが、世界的な債務の増加と個人貯蓄率の減少になります。せっかく相場環境が怪しくなってきた時期ですので、こういったマクロ指標がどういったことを意味しているのかを、もう一度考える時期にきているのだと思われます。

 

 

 

 

| コラム | 13:16 | comments(0) | trackbacks(0) |

カナダ経済がちょっと危なくなってきたかもしれない

2018年の実質的な初投稿ですが、2月の中旬になってしまいました。ツイッターが便利ですし仕方が無いですね。

為替市場は年明けからアメリカドル安傾向が続いていますが、株式市場ほどは乱高下していない様子です。アメリカの長期金利の上昇が、市場を動かしている雰囲気ですが、明確な方向感があるかと言われると難しいところ。ユーロドルの動きが一段落していることからも、しばらくはボラティリティの少ない相場に戻ることになりそうです。

 

 

カナダで失業率が発表されました。

・カナダ失業率(2018年1月)  5.9%(前月比 +0.1)

なんてことのない数値ですが、少し気になったことがあるので、掘り進めてみます。

 

 

カナダの経済指標を見ていきますと、

 

・失業率 5.9%

 中長期で見て下落傾向→横ばい

 

・GDP成長率 0.9%

 最悪期は脱して、低成長ながら安定

 

・貿易収支 ー3185 百万カナダドル

 かなり悪い

 

・小売売上(前年同期比) 6.5%

 かなり順調

 

・貯蓄率 2.6%

 ここ数年は4%台で推移してきたものが足下で急悪化中

 

・GDPに対する民間債務 266%(2016年)

 世界最悪水準

 

・GDPに対する個人債務 100%

 かなり悪い

 

とこんな感じです。

カナダは、2014年に資源価格急落によって経済が悪化しましたが、その後資源価格がやや上昇したことで、経済も回復しています。上記の経済指標を見る限り、その後は個人消費の成長による経済の回復のようです。特徴的なのは世界最悪水準の債務です。世界的な低金利から、企業の借り入れが増加したほか、個人では都市部を中心に住宅価格が急上昇し住宅ローンが増加しました。(カナダの住宅価格は2017年中旬辺りでピークを見せ、足下では安定中と思われます。)

 

順番からいくと、住宅価格が上昇し、資産価格の増大から個人消費が増加。しかし所得がそこまで増えていないため、貯蓄が減少し、債務が増大。つまり、このままの状態は続かないよね!といったところです。

さらにこの状況から足下で金利が上昇中、「ここから失業率が上昇し始めたらまずいなぁ」と思っていたところで上記の失業率の悪化が発表されたということです。

失業率は(季節要因などのため)上下する数値のため、単月で悪化したところで特に問題は無いでしょう。しかし、カナダの経済状況を考えますと、この値をより長期で監視していく必要はありそうです。

 

 

2月になって言うことではないですが、今年のテーマは「経済危機との距離感」です。リーマンショックから10年目を迎え、そろそろ次の経済危機が気になるところです。しかし、足下では世界経済は堅調、一部バブルの懸念はありますが、基本的には良好な経済環境と思えます。次の経済危機は、正直まだ2年は先だと思っているのですが、先日の株価急落など、少しずつ変化の兆しは現れているようです。

そして、その変化の最先端を行っているのが、今回記事にしたカナダ経済になります。世界的な低金利から生まれた債務こそが、次の経済危機を作る爆弾そのものです。世界最大の爆弾を持つカナダ経済からしばらくは目を離せなくなりそうです。

 

 

| コラム | 11:38 | comments(0) | trackbacks(0) |

2017年後半のまとめと2018年前半の展望

今年も残すところ10日を過ぎました。

2017年後半のまとめと、2018年前半の為替相場の展望です。グダグダです。

 

今年後半は、年前半の流れを引き継ぎ、全体的に値動きが少ない相場になりました。そんな中、相場を主導していったのが、ユーロです。ユーロインデックスは、7月初めから9月の高値までで5%強の上昇となっています。同期間にアメリカドルインデックスは6%程度下落し、ユーロドルは一時1.2を超え、2年ぶりの高値を付けました。この期間は、新興国・資源国・高金利通貨が徐々に値を下げ、全体的にリスクオフの雰囲気になりました。FRBの利上げ、ECBのテーパリングなどが強く意識され、主要国へ資金が引き揚げられた格好です。

 

9月の下旬頃からはこの流れが一転し、リスクオンの環境になります。ユーロの上昇は一服、やや弱めの動きとなります。アメリカドルドルは底堅い動きでしたが、相場をけん引するまでは至っていない印象です。新興国通貨では南アフリカランドの動きが足元で堅調、政権交代の期待から大きく値を上げました。また、ニュージーランドドルがいったん大きめに値を下げましたが、値を戻しつつあります。その他では、北欧通貨が弱い動き、天然ガス価格の下落や、住宅価格の下落からの投資資金の逃避などが考えられますが、詳しい理由は不明です。

 

コモディティを見ていきますと、原油価格はWTI1バレル=58ドル台で6月の安値から、3割弱の上昇。貴金属価格はパラジウムを除いて下落基調、自動車の触媒用の需要は、プラチナから、パラジウムへ移行したようです。その他では、銅価格が世界経済の好調を受け上昇、石炭価格は高値圏で推移、鉄鉱石価格も安定しています。

 

 

来年前半の展望ですが、ちょっと難しいですねぇ・・・・・。あまり明確な材料もなさそうで、全体的に値動きが少ない相場が続きそうです。主要国の金融政策が緊縮的なものに推移するため、新興国から主要国へ資金が移動することも考えられますが、前回のアメリカの利上げ時(2005年頃)もアメリカドルの上昇は見られず、むしろ、アメリカドルが下落、新興国通貨が強くなったなどの事例などもあり、ここからの為替市場の判断は慎重にしていきたいところです。

 

ファンダメンタルズ的には、強い側で、ユーロ・日本円、弱い側で、トルコリラ・ニュージーランドドルが基本路線です。しかし、足元でキャリートレードが復活している雰囲気もあり、逆に動く可能性も否定できないのが、予想を考える上では厳しいものになっています。

 

資源国通貨では、オーストラリアドルには有利な環境、産油国ではロシアがやや上値の余地があるかと思いますが、他は産油国には厳しい原油価格の推移になっています。南アフリカランドは、パラジウム価格の影響もあり、悪くない環境ではないでしょうか。ただ直近の値動きはやや心配です。

 

世界経済全体を見ていきますと、基本的には好調で、このままの経済成長はしばらく続きそうです。様々な分野でバブルの懸念が増していますが、足元で崩壊する予兆はありません。もう数年はこの状況が続くことになりそうです。世界の債務は新興国を中心に増加中、この動きが世界経済を引っ張って行っていると同時に世界の懸念事項にはなっています。住宅価格が頭打ちになったカナダ・オセアニア・北欧の各地域では個人消費や、個人債務にどんな影響が出るのか注意する必要がありそうです。

 

 

今年は一年を通しましても、為替の動きが穏やかでボラティリティが少ない状況が続きました。これは相場を予想するうえでは非常に厳しい環境でした。足元でもいかんせん相場観が全くなく、本当に何も見えていません。過去数年で最もスランプだと思われます。

そんな状況ですが、明日から個別通貨の予想を行います。どうかお付き合いください。

 

 

| コラム | 15:08 | comments(0) | trackbacks(0) |

周小川の功績と宿題

為替市場は、リスクオンの相場も、わかりにくい動きと言いますか、個人的に現状認識がはまっていません。アメリカドルが頭が重い展開になっていて、これが、主要国通貨安、新興国通貨高の要因になっている気がします。アメリカドルはファンダメンタルズ的にも、ここら辺が頂上なのかもしれません。

 

 

アメリカFRBの議長が来年2月にパウエル氏に交代になりますが、もう一つの超大国、中国の中央銀行である中国人民銀行総裁も3月に交代になります。

現在の人民銀行総裁である周小川氏は、2003年から3期15年間総裁の任務をつとめています。一番の功績は、人民元の自由化を高め、IMFのSDR通貨入りを果たしたことと言われますが、どちらかというと、中国の経済をここまで牽引してきたこと自体が功績のように思われます。

 

為替や金融市場の国際化、2015年の株式バブルへの対応、シャドウバンキングへの規制、不良債権処理用のバッドバンクの設立と運用、供給側改革と、人民銀行が関わる案件は、巨大なものが多く、その影響力は大きなものでした。しかし中国の中央銀行は政府との独立性が低く、金融政策が実質国策のため、中央銀行の意見と中央政府の政策にヅレが生じることあり、そういった政策は必ずしも効果的だったとはいえないこともあります。例えば、周氏は、常に不良債権の処理を急ぐべきと表明しているにもかかわらず、党・中央政府の動きは鈍いものでした。債務問題にしろ、株式市場の話にしろ、人民銀行からの話は的を射ていると感じさせることが多く、政策に期待を持たせるのですが、そういった問題への対策は場当たり的なものに変わってしまう印象です。そういった環境の中で国際社会からの矢面に立ち、意見を表明してきた周氏への信頼は国内外から絶大な信頼を置かれていました。

 

周氏は先日10月に「ミンスキーモーメント」について触れました。ミンスキーモーメントとは、金融市場の価格が暴落が始まるする瞬間のことで、このようなことを話すことで、市場に警戒を促したことになります。

任期終了直前にこのようなことを話すのは周氏らしいともいえますし、改めて、現在の金融市場を見直さなければならないと感じさせられるものでした。

 

 

住宅価格・シャドウバンキングの問題・通貨の自由化・国際化にしろ、中国の金融問題は、道半ばです。また現在も大量の不良債権が残っていて、これの処理が今後の課題です。周氏が残していった宿題はとても大きなものになります。

現時点で、次期人民銀行総裁は公表されていませんが、次期人民銀行総裁にののしかかる責務が、非常に巨大であるということは、間違えようのないことになりそうです。

 

| コラム | 15:13 | comments(0) | trackbacks(0) |

2018年 為替・金融業界10大予想

2017年も終わりに近づいてきたと言うことで、それっぽい企画。この時期になりますとよく見かけるやつです。

当たるとか、当たらないとかはどうでもよくて、面白ければ良いのだと思います。面白くないけど。。。。

 

【2018年 為替・金融業界10大予想】

 ・WTI1バレル=80ドルを突破

 ・ユーロ一人勝ち ユーロドル 1.5を回復

 ・世界的に住宅価格が大幅に下落

 ・日経平均30000円を突破

 ・FRB6回の利上げ

 ・イギリスのインフレ率が5%を超える

 ・サウジアラビアリヤルがドルペッグ制を廃止

 ・中国の輸出が減少 貿易赤字に

 ・日銀総裁が白井さゆり氏に

 ・カナダ・オーストラリア中銀が量的緩和を開始

 

解説します。

 

 

・WTI1バレル=80ドルを突破

供給量が予測を下回れば十分に可能性があります。80ドルは厳しいかもしれないけれど、上方向の動きが基本路線。

 

・ユーロ一人勝ち ユーロドル 1.5を回復

ファンダメンタルズ的にユーロが強気予想なのは確実。どれだけ上昇するかはECB辺りの動き次第でしょうか。

 

・世界的に住宅価格が大幅に下落

ここまで世界的に上昇してきた住宅価格ですが、ここに来てすでに一部地域で頭打ちの様相を見せています。2018年は下落の可能性もあります。

 

・日経平均30000円を突破

十分に達成の可能性はある水準。

 

・FRB6回の利上げ

現時点での201年の予測は3〜4回の利上げです。新メンバーがタカ派なことも予想されているため、6回の利上げまでは想定すべき状態と思われます。

 

・イギリスのインフレ率が5%を超える

すでに3%を超えるインフレ率になっているため、5%もあり得る水準です。中央銀行には難しい判断が求められそうです。

 

・サウジアラビアリヤルがドルペッグ制を廃止

外貨準備が減少しているため、普通にありそう。来年中ではないかもしれないけれど、そのうち。

 

・中国の輸出が減少 貿易赤字に

近年、中国の貿易黒字額がわずかにですが減少しています。いきなり貿易赤字になる可能性は低いですが、可能性としては見ておきたいところです。

 

・日銀総裁が白井さゆり氏に

黒田総裁の続投がほぼ確実視されている日銀人事ですが、サプライズがあるかも。白川 → 黒田 →白井 のオセロ人事が見たかっただけです。

 

・カナダ・オーストラリア中銀が量的緩和を開始

現行のバブルの最先端を走っているのが、この2カ国です。現行の債務水準から予想すると、金融危機を招く可能性があります。ゼロ金利からの量的緩和という、黄金パターンが見られるかもしれません。

 

 

| コラム | 13:39 | comments(0) | trackbacks(0) |

産油国通貨の憂鬱

為替相場は、先月に一旦リスクオフが強まりましたが、現在は解消、落ち着いた相場になっています。年末も近づいていることもあり、値動きは小さくなるのかもしれません。

 

原油価格と産油国通貨の話です。

原油価格は、今年は年後半に上昇。現在の価格はWTI1バレル=56ドル台で推移しています。7月に45ドルを割っていたことを考えますと、そこから3割程度上昇したことになります。今年前半に見られた供給過剰感は払拭され、需給・在庫水準は安定しています。需要が旺盛なことから、原油価格はこれからも底堅く推移すると考えられます。ただし足下では投機筋による買い持ち額が最高水準を更新しているため、今回の相場はこの辺りが天井なのかもしれません。

来年2018年にかけましては、需要・供給ともに増加が予想されています。成長する新興国と、安定した世界経済が需要を支え、シェールオイルなどの増産により、供給量も増加すると考えられています。原油価格自体は、需給均衡のため、現在水準付近での値動きが想定されます。

 

この原油価格水準での産油国通貨を考えます。

今年の産油国通貨の値動きは芳しいものではありませんでした。原油価格と共に底は打っているのですが、伸びきらないと言いますか、上昇できていない状態です。

カナダやメキシコは経常・貿易赤字で、数値的にも良くありません。経常黒字国である、ロシアやノルウェーもさすがに2013年辺りと比べると、経常黒字幅が大幅に縮小していて、黒字額がほぼ「無い」と言っても過言ではない水準まで低下しています。足下で改善傾向は見られるのですが、現在の原油相場を見る限りは大幅な回復は厳しいと考えられます。ロシアはOPECとの協調減産をしているため、産油量が減少中。これが経常収支を悪化させています。

2018年も、もしWTIが60ドル強まで上昇したとしても、産油国の交易条件に与える影響は限定的なものとなりそうです。カナダやメキシコでは、原油価格の上昇よりも、資金がアメリカや他の主要国へ流れていく動きの方が大きくなるため、為替が下落すると予想されます。ここからの産油国通貨はやや厳しめに動くことになりそうです。

 

そしてもう一つ考えなければいけないのが、サウジアラビアの通貨「リヤル」です。リヤルはドルペッグ制を採っているため、価格水準が大きく割高で推移しています。原油価格の下落と共に、売り圧力が強まったリヤルをサウジアラビアの外貨準備によって、買い支えているの現状です。現在の外貨準備の水準を見る限りは、あと数年程度は我慢できるかもしれませんが、現実的には来年にドルペッグ制の廃止の可能性があり、その場合は中東地域を中心に、経済の混乱に見舞われることになりそうです。

 

 

 

個人的には、もう少し原油の需給が逼迫し、原油価格も急騰する可能性も予想したのですが、なかなかそうはならないようです。シェールオイルの機動力はやはり凄いものがあります。

低い原油価格は、ユーロ圏・日本・韓国などの非産油国にとっては恩恵をもたらすことにもなります。来年も非産油工業国通貨を、上昇する通貨の中心と予想したいと考えています。

 

| コラム | 14:44 | comments(0) | trackbacks(0) |

中国からの資金流出は減少したのか

先週末ぐらいから、日本円が強い状況です。特段材料があったように見えませんが、リスクオフムード。新興国・資源国から主要国へ資金が移動しているように見えますが、ユーロが弱めの動きであったりと、複雑な様相です。明確な方向感が出るまでには、もう少し時間が必要なのかもしれません。

 

 

先日発表されたスウェーデンの不動産価格が2が月連続の下落、下げ幅はリーマンショック直後以来の3%と大きな下落となりました。スウェーデンでは、もともと首都ストックホルムを中心に不動産価格が高騰しバブルの様相を見せていたのですが、これが調整局面に入った可能性があります。同じような変化は、カナダ・オーストラリア等でも見られ、世界的に高騰していた不動産価格がここにきて、頭打ちになってきたようです。

またアメリカでは、ここまで大きく上昇してきた株価が少し弱含んできています。中長期での上昇基調は続いているのですが、ここまで特に強かったSP500指数は、ここ1ヶ月ほど横ばいの動きになっています。

このようにここまで一本調子で上昇してきた相場ですが、ここにきて少しずつですが変化が始まっているように見えます。そしてこれらの変化には、中国からの投資資金の減少が、関係しているのではないでしょうか。

 

ここ数年の世界の不動産市場や株式市場で存在感を増しているのは、新興国からの国境を越えた資金移動です。その中でも特に海外への投資額が大きかったのが中国で、先進国の不動産や株式に莫大な金額が投資されたとされています。この莫大な資金が、不動産を上昇させ、株価を過去最高値に引き上げています。

この流れが変わったのは今年の春先です。中国政府が海外への資金移動の規制を強化しました。その規制の効果がここに来て現れ、様々な市場で変化が出てきたのだと考えられます。中国政府は、これまでも海外への資金移動の規制をたびたび強化してきたのですが、香港を利用した資金移動が抜け道として使われ、実質的なの資金移動が減ることはありませんでした。しかし、今回の規制は厳しく、強い実効性がみられたようです。中国からの資金移動の減少を明確に表す指標は見つけられなかったのですが、中国の外貨準備が今年に入り、減少から横ばい・微増への変化していることは、こういった動きの状況証拠になると思われます。

 

さて、問題になるのはこれからの市場の動向です。本当に中国からの資金移動が減少しているならば、日々下落圧力が強まると考えられます。少なくとも、ここから上値を目指すような動きは限定的になると考えた方が自然でしょう。不動産や株価が下落したならば、そこからの影響は多岐にわたります、個人消費や雇用、金利・為替・金融機関の経営など幅広い分野に影響が出ることになるでしょう。どの市場がバブルなのか、どの市場にどのような資金が入ってきているのか、もう一度確かめる段階に来ているのだと思われます。

 

 

リーマンショックから9年、ギリシャ危機、バーナンキショック、石油価格の暴落など、市場は様々な問題を乗り越えてきました。しかし、この間に本格的な信用収縮は経験しませんでした。ここからの最悪のシナリオは、新興国の資金が本格的に本国への巻き戻ることに伴う、信用収縮を含んだ金融危機です。もちろん、現在はそんなことを織り込む必要は無いのですが、何かいやな予感がします。最悪のケースを想定しながらも、日々の数値をしっかり確認し、相場に向き合っていきたいものです。

 

 

| コラム | 19:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
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