KAWASE BIIKI

経済の教科書通りの動き

週明けの為替市場は、先週の流れを受け、リスクオンの展開、日本円の独歩安です。大きな動きではないですが、新興国通貨が買い直されているように見えます。これからは材料が少なくなるため、方向感が無い相場になってしまうかもしれません。

 

 

先月は為替予想のため、いろいろな国のデータを見ていたのですが、全体的に見て、世界経済は良い状態であると感じました。一部、資源国に不安定な数値もありましたが、おおむね安定・堅調と言った様子です。特に顕著なのが失業率で、アメリカや日本で、完全雇用状態なのをはじめ、低失業率や失業率を大幅に下落させている国が目立っていました。

この世界経済の堅調さは、2008年のリーマンショック以降の、世界の金融政策が影響していると考えられます。

 

リーマンショック以降、アメリカ・ユーロ圏・イギリス・日本などの主要中央銀行が、量的緩和や超低金利政策をとり、世界の金融政策は、大きく緩和的なものとなりました。金利が低下することで、各企業は支払利息の負担が減少し、業績が伸び、これが雇用の伸びにつながりました。また銀行の与信枠が増加することにより、運転資金の心配が減り、永続的な企業活動をしやすくなるといったメリットもありました。

しかし、その代償としてか、債務も増加しています。特に新興国や資源国で、政府・民間・個人とも債務の増加が確認できます。インフラの拡張や設備投資など、生産性の伸びが期待できる分野も多いですが、やはり世界的に住宅価格が上昇、複数の地域で、資産バブルといえる状況です。また、企業が株価対策のため、自社株購入用に債務を増やすなどの行為も見られ、必ずしも将来を見据えてといった状況では無いようです。

 

 

緩和的な金融政策で、雇用と債務が共に伸びるというのは、まさにマクロ経済の理論そのものです。時間は掛かったのかもしれませんが、ここまでは、各中央銀行が望むとおりの動きだと思われます。しかし、ここから先はどうでしょうか。

FRB・ECBといった世界の2大中央銀行が、金融政策を、緊縮的なものに舵を切ります。また、BOE(イギリス中央銀行)・BOC(カナダ中央銀行)なども利上げの準備をしている、といった報道もなされています。世界の金融政策は、大きく動きそうです。

こうなりますと、金利の上昇から、増大した債務が、時限爆弾に変化します。すでに債務が膨らんだ政府や企業は、投資や雇用を減らすでしょう。個人も住宅価格が頭打ちになるようですと、返済に追われ、個人消費が減少する可能性もあります。世界の景気は一変する可能性もありそうです。

 

 

緩和的な金融政策のデメリットで最も大きなものは、本来淘汰されるべき企業が、残ってしまったり、低生産性の分野に雇用が固定されてしまい、新しい分野に人材が投入されないことでしょう。もし、時代を見越した設備投資が行われておらず、必要な改革が行われていないのであれば、今後そういった企業は淘汰されることになります。

今はまだ安定した世界経済情勢です。幅広く、幅広く、情報を集めるべき時期なのだと思います。

 

 

| コラム | 17:36 | comments(0) | trackbacks(0) |

原油価格はしばらくは上値が重い展開が続く

為替市場は不安定な展開、通常はリスクオンになり、日本円が弱い様子なのですが、アメリカの10年債金利の高騰に合わせ、新興国通貨が一斉に売られるなど、神経質な動きのようです。ECBの金融緩和縮小の動きもあり、しばらくはこのような相場が続くのかもしれません。

 

 

原油価格の話です。

原油価格は年初にはWTIが1バレル=50~55ドルのレンジで推移してきましたが、ここに来て大きく下落しています。先週は1バレル=42ドル台を付け、現状も44ドル台と回復が鈍くなっています。

下落の要因としましては、原油の供給過剰感があります。OPECの減産合意を受け、2017年前半は供給不足が予想されていました。しかしアメリカのシェールオイルの急増産・OPEC内で減産の義務の無いナイジェリアやリビアの増産等を受け、供給力が想定以上に増加しています。そのため、原油在庫の調整が進まず、価格も弱い動きになりました。

アメリカの原油在庫の水準は、昨年とそれ程変わらないのですが、それでも月別で過去最高水準を保っていて、過剰感はあるようです。OPECの減産が打ち消されてしまい、効果が全く無くなってしまいました。

 

原油価格が下落したことで、アメリカシェール企業の稼働が気になるところですが、平均的なシェール企業の損益分岐点は1バレル=50ドルを割っているようで、現在の価格帯でも操業を続けるだけならば問題は無いようです。それでも先週石油掘削リグ数が24週ぶりに減少に転じたというのは、原油価格の下落の影響があるのだと思います。つまり、この辺りの価格水準が、シェール業者にとって、供給を増やす目安なのかもしれません。

 

 

先行きですが、やはり現行水準±10ドル前後の動きになると思われます。上値は供給過剰のため重いですが、下値では投機的な買いが入るため、昨年あったような1バレル26ドルのような極端な価格にはなりにくいのではないでしょうか。

需給では、需要は世界経済が堅調なため想定通りの伸びを見せています。これは変化が無いでしょう。しかし、供給側でも量を減らすということは無さそうです。OPECはサウジアラビアを中心に、減産枠を拡大する可能性はありますが、それ程大きくはできないでしょう。つまり需給バランスに大きな変化は無さそうです。少なくとも今年いっぱいぐらいは、現状の供給過剰感が続く可能性が高そうです。

 

 

| コラム | 12:40 | comments(0) | trackbacks(0) |

ユーロキャリートレードの巻き戻しに注意

ユーロが先週の上昇後も底堅い動き、底値圏を脱しつつある状況です。

 

ユーロインデックスは年初来9%程の上昇、先週の上げ幅は3%程度となっています。理由としてはご存じの通り、ECBのドラギ総裁が金融政策を緊縮的なものに方向転換するような発言をした、というのが大きいようです。(個人的にはそうは聞こえなかったのですが・・・)現状のユーロ圏経済を見ても、金融政策の緊縮化は妥当性がありますし、ここから、さらなる緩和の方向に進む可能性は無く、ユーロを買いやすい状況になっています。

ユーロ圏の経常収支はGDP比3%強の黒字と堅調のため、水準的にもここから通貨を下落させる理由がありません。

 

 

しかし、そうなりますと気をつけなければならないのは、キャリートレードの巻き戻しです。

リーマンショック後、先進国の金融緩和を受けて、投資資金が新興国に流れています。低金利の先進国で資金を調達し、名目高金利の新興国へ投資することをキャリートレードといいます。資金を調達する通貨としては、日本円・アメリカドル・ユーロなど、投資先はオセアニアやトルコ・南アフリカ・ロシア・メキシコ・ブラジル等々の高金利債券です。

アメリカのテーパリング開始後は、資金調達通貨としてのアメリカドルが減少したため、ユーロの割合が増えることになりました。そしてこの投資された資金が、ECBの金融政策の変更を受け、新興国から巻き戻ってくる可能性があるということです。

 

現在の金融市場はどちらかというリスク選好(リスクオン)の流れのため、新興市場からの巻き戻りは、まだ少ないと思われます。それでも、資金調達通貨をユーロから日本円等他の低金利通貨へ変更する動きは、あるかもしれません。その場合はユーロ高、日本円安になると考えられます。

ここから、実際にFRB・ECBの米欧中央銀行が緊縮政策を続けるとなると、新興国との名目金利差が縮小する(思惑が増える)ため、新興国からの資金移動が増加します。この場合の通貨の動きは、ユーロ高・新興国通貨安です。特に経常赤字の新興国場合、経常赤字分と、資金の流出が重なるため、下落が急なることが予想されます。これからの時期、経常赤字の新興国通貨を買うことは、ほぼタブーと言って良いでしょう。

そして来年以降、アメリカFRBの政策金利が何らかの理由で上昇できないようになりますと、アメリカドルも弱くなり、ユーロの独歩高の可能性も考えられます。

 

米欧が緊縮政策 +  リスクオン =   日本円(JPY)安
米欧が緊縮政策 +  リスクオフ =   新興国通貨安
欧州が緊縮政策 +   米国の金利が上昇しない =   アメリカドル(USD)安

 

 

キャリートレードの巻き戻しは、タイミングの見極めがものすごく困難な上に、ボラティリティが大きくなる傾向があり、相当な注意が必要です。これまで資金が入ってきている新興国がどこなのか、経常収支の値はどうなっているのかなど、今一度確かめたほうが良いのでしょう。

今一番安全な通貨は、間違えなくユーロです。足下で大きく上昇したため、一度調整はあるかもしれませんが、中長期で見た場合、これほど理想的な位置にあるのは珍しいことです。とりあえずユーロを買う場合に、どの通貨を売りで持つのか、それを考えることが、ここからの投資戦略の基本になると思われます。

 

| コラム | 14:19 | comments(0) | trackbacks(0) |

為替予想2017後半 まとめ

2017年後半の為替予想のまとめです。

 

★ 強い  ユーロ  ブラジルレアル
★ やや強い  日本円  ポーランドズロチ
★ 中立  オーストラリアドル  南アフリカランド  メキシコペソ
★ やや弱い  ニュージーランドドル  中国人民元  イギリスポンド
 ノルウェークローネ  トルコリラ  アメリカドル
 カナダドル
★ 弱い  ロシアルーブル

 

★想定環境

・原油価格 WTI 35~55ドル/バレル。

・FRBは今年はあと1回利上げ、来年3回という市場予想は変わらず。

・ECBのテーパリングは始まらないが、来年開始に向け、地ならしがされる。

・エネルギー以外の資源価格には大きな動きは少ない。やや上向きな動き。

・世界的にリスクオンムードが続く、株価が上昇・債務残高の増加・住宅価格の上昇が続く、個人消費も堅調も、一部先進国で頭打ち感が出る。

 

 

全体的に動意に欠ける静かな相場になると予想します。ユーロが強く、アメリカドルが弱いという展開が基本です。産油国通貨に関しましては、原油価格次第なのでなんともいえませんが、弱めに予想しました。また変更するかもしれません。

 

ベースとなるのは世界経済の強さなのですが、その中でもヨーロッパ経済の強さが再認識されると思います。数年来底値水準のユーロが反発し、そのカウンターとしてアメリカドルが売られやすい展開です。ユーロドルの上昇に関しては、年前半からの流れが続くだけなのですが、より方向感が明確になると予想します。

 

新興国では、割安なのはブラジルレアル、景況感ではポーランドズロチと、ここには書かれていませんが、ハンガリーフォリント(HUF)の東欧コンビの買いを推奨します。ヨーロッパ経済の回復と、エネルギー資源価格の下落の恩恵が受けられそうです。

 

 

 

★トレードアイデア

・EUR/USD L

・USD/BRL S

・USD/HUF S

 

ユーロドルのロングが基本です。売りで持つ通貨がアメリカドルだけでバランスの悪いポートフォリオになっています。

実際には、「売り」でイギリスポンドや中国人民元・トルコリラ辺りを混ぜてみたいところです。年前半と同じように、「買い」で持つ通貨はアメリカドルストレートで、「売り」で持つ通貨は、クロスユーロで持つのが安全と思われます。

 

 

| 為替予想 2017後 | 07:17 | comments(0) | trackbacks(0) |

ブラジルレアル(BRL)為替予想2017後半

ブラジルレアル(BRL)2017後半

★総評 強い

昨年大幅に下落した新興資源国通貨ですが、強いと予想します。現在は通貨の回復局面でファンダメンタルズ的な指標も良好なため、下落する不安が少なく、買い場とみています。上下激しく動く通貨ですが、今が狙い目でしょう。

 

ブラジル経済は良くありません。昨年はマイナス成長、失業率は13%台とここ数十年のブラジル経済の中でも、最も悪い水準となっています。ただ最新の成長率の値はプラスとなっていて、底は脱した感はあります。

大幅な通貨下落の恩恵を受け、貿易統計は改善傾向です。貿易収支は過去最高の黒字、経常収支も黒字を維持しています。鉄鉱石価格の上昇の他、大豆・食肉といった食料品価格が堅調さを示したのが影響しているとみています。エネルギー資源価格の低迷の影響は少なく、貿易はしばらく好調を維持しそうです。

個人消費は低迷、住宅価格も伸び悩みと、内需産業は厳しい状況のようです。債務の伸びが少ないのは、相対的には良いことなのかもしれません。

 

金融政策はかなりの緊縮的なものとなっています。インフレ率が急低下したため、高い政策金利が取り残された格好です。急ピッチで利下げをしているのですが、間に合っていません。今後も利下げがしばらく続くと思われます。

 

 

★トレードアイデア

・USD/BRL S

 

FXで、ブラジルレアルを扱っている方は少ないでしょうが、今回一番の買い時通貨だと思われます。昨年大幅に下落したおかげで、かなりの低水準になりました。リスクは高いですが、中期的に見て、大きな利幅を狙うタイミングだと思われます。

 

| 為替予想 2017後 | 09:05 | comments(0) | trackbacks(0) |

メキシコペソ(MXN)為替予想2017後半

メキシコペソ(MXN)

★総評 中立

昨年はアメリカ大統領選挙の影響で、その前後で大幅に下落しましたが、今年に入ってからは、回復傾向を鮮明にしてきた通貨です。水準感としては特に割安・割高感も無く、ここからポジションを持つ理由があまりありません。産油国なのでこれからしばらくは弱さを見せるかもしれません。

 

メキシコ経済は底堅い雰囲気です。低成長ながら、失業率が3%台と低いレベルが続いています。新興国としては物足りなさはありますが、安定しているようです。為替が下落したこともあり、貿易収支が黒字の月が出てきました。対アメリカを中心に工業製品の輸出が増えているようです。昨年の原油安の影響は払拭されたようです。経常収支は赤字、対外債務に対する利払いは大きな負担になっていると考えられます。足下で原油価格が下落しているため、今後発表される貿易統計には注意が必要です。

個人消費を見ても、債務の伸びを見ても、それ程目立った数値はありません。悪いところがあるわけでは無いのですが、新興国としては勢いみたいなものが無いように感じます。ここからの経済発展には新しい産業が必要な段階なのだと思います。

 

金融政策は緊縮的なのを政策を採用しています。昨年為替が大きく下落した段階で、為替水準維持を目的に利上げを行い、政策金利は高い水準が続いています。足下で、インフレ率が上昇してきたこともあり。この金利水準は維持される可能性が高そうです。

 

 

★トレードアイデア

・特になし

 

アメリカ大統領選挙直後の大幅な割安感は薄れてきています。現在は水準感を見ても、交易条件を考えても、特に理由は見つかりません。中・長期でやや弱めの動きになるかとみていますが、どうでしょうか。ここからのリスクオンの動きで、大幅に上昇する局面があるようですと、下落を狙ってみたいところです。

 

| 為替予想 2017後 | 08:35 | comments(0) | trackbacks(0) |

カナダドル(CAD)為替予想2017後半

カナダドル(CAD)

★総評 やや弱い

色々動きがある資源国通貨の中で、一番複雑なのが、このカナダドルかなと思っています。昨年は大きく下落し、現在は復調気配も、上値は重い。予測が難しい面もありますが、やや弱い位の予想とします。オーストラリアドルよりは不安な要素がやや多いイメージです。

 

カナダ経済は、2015年から資源価格の下落を受け悪化、昨年底をつけ、現在は回復中といった状況です。失業率が下落傾向、経済成長率も年2%ペースまで戻してきました。為替の下落と資源価格の回復で貿易収支が改善傾向にあります。製造業が好調でアメリカへの輸出が増えているのだと思われます。ただ、オーストラリアやニュージーランドが貿易収支を黒字化したのと対照に、現時点ではまだ貿易赤字が続いている段階です。全輸出量に対する原油輸出の割合は高くは無いのですが、原油価格の下落は影響を与えそうです。カナダ産の原油は価格が安く、また新興のシェールサンドはコストが高いなど、競争力の点で問題があるようです。その他の資源では、ベースメタルは価格が上昇中・貴金属は弱め、木材や食品はまちまちと、複雑な資源価格に振り回されそうです。

 

カナダといえば、住宅価格の高騰が問題視されています。住宅の価格の過剰上昇を示す指数では、世界最悪をともいわれ、住宅バブルが心配されます。また、リーマンショック後、民間・個人とも債務の増大が著しく、この信用が収縮する場合などは経済が大きく損なわれる危険性もあり注意が必要です。

 

金融政策は緩和的な水準です。政策金利はここ数年大きくは変動していません。インフレ率もそれ程大きくは動いていないため、今後もしばらくは現在の金融政策が続くと予想されます。

 

 

 

★トレードアイデア

・特になし。

 

カナダドルはいつもタイミングが難しいイメージです。たぶん今では無いと思います。しばらく弱い相場が続いた後、まだ資源ブームでも来たときが買い場だと考えています。

 

| 為替予想 2017後 | 09:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
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