KAWASE BIIKI

日本円(JPY) 為替予想2018前半

日本円【JPY】  

★総評 強い

2017年は大きな動きがなかった日本円ですが、上昇を予想します。水準が割安で、ここから大きく下落する可能性は低く、比較的安心して買い進められる通貨で、リスクオフになった場合の上昇幅は大きくなりそうです。足元ではリスクオン環境のため、大きく値が動くことはないかもしれませんが、保険のためにも、買い目線でのポジション保有をお勧めします。キャリートレードのよう取引が優勢になった場合には下落する可能性があります。

 

★経済状況 マクロ指数等

日本は経済は好調です。安定した経済成長と、歴史的な低失業率が続き、不安材料は少ない状態になっています。貿易ではアジア圏への輸出が拡大しているため、経常黒字額が大きくなっていて、好調な新興国経済を受け、この傾向はしばらく続くことになりそうです。輸入側では、エネルギー資源価格の上昇が懸念材料でしたが、現在水準でしたら大きな影響はないと思われます。小麦など食品の価格上昇は、やや懸念材料です。

株価及び住宅価格は上昇中です。一部バブルの懸念はありますが、諸外国に比べそれほど大きなものではありません。それでも海外からの資金流入量が減っているため、下落する局面も多くなりそうです。その場合の、個人消費や経済全体への影響はやや大きくなるかもしれません。どちらにせよ、そういった市場は安値圏ではないという認識は必要になるでしょう。

 

★金融政策

経済状態の変化が少ないため、金融政策の変化はないと思われます。ここからさらに緩和的な政策を行う理由は少なく、現在の日銀の姿勢から、金融政策を緊縮的なものに変えることもないでしょう。インフレ率も現在水準が続くと予想、安定した状態が続きます。

金融政策では、どちらかというとユーロ圏やアメリカのほうが変化が大きいため、そういった主要中銀の金融施策の影響を受けることになりそうです。

 

 

★トレードアイデア

・TRY/JPY  S

・MXN/JPY S

 

ファンダメンタルズ的に弱そうな通貨ペアをショートで持ちたいところ。より分散させるなら、ニュージーランドドル(NZD)・カナダドル(CAD)まで、必ずしも2018年前半で勝負はつかず、長期的な戦いになりそうです。

 

| 為替予想 2018前 | 14:25 | comments(0) | trackbacks(0) |

2017年後半のまとめと2018年前半の展望

今年も残すところ10日を過ぎました。

2017年後半のまとめと、2018年前半の為替相場の展望です。グダグダです。

 

今年後半は、年前半の流れを引き継ぎ、全体的に値動きが少ない相場になりました。そんな中、相場を主導していったのが、ユーロです。ユーロインデックスは、7月初めから9月の高値までで5%強の上昇となっています。同期間にアメリカドルインデックスは6%程度下落し、ユーロドルは一時1.2を超え、2年ぶりの高値を付けました。この期間は、新興国・資源国・高金利通貨が徐々に値を下げ、全体的にリスクオフの雰囲気になりました。FRBの利上げ、ECBのテーパリングなどが強く意識され、主要国へ資金が引き揚げられた格好です。

 

9月の下旬頃からはこの流れが一転し、リスクオンの環境になります。ユーロの上昇は一服、やや弱めの動きとなります。アメリカドルドルは底堅い動きでしたが、相場をけん引するまでは至っていない印象です。新興国通貨では南アフリカランドの動きが足元で堅調、政権交代の期待から大きく値を上げました。また、ニュージーランドドルがいったん大きめに値を下げましたが、値を戻しつつあります。その他では、北欧通貨が弱い動き、天然ガス価格の下落や、住宅価格の下落からの投資資金の逃避などが考えられますが、詳しい理由は不明です。

 

コモディティを見ていきますと、原油価格はWTI1バレル=58ドル台で6月の安値から、3割弱の上昇。貴金属価格はパラジウムを除いて下落基調、自動車の触媒用の需要は、プラチナから、パラジウムへ移行したようです。その他では、銅価格が世界経済の好調を受け上昇、石炭価格は高値圏で推移、鉄鉱石価格も安定しています。

 

 

来年前半の展望ですが、ちょっと難しいですねぇ・・・・・。あまり明確な材料もなさそうで、全体的に値動きが少ない相場が続きそうです。主要国の金融政策が緊縮的なものに推移するため、新興国から主要国へ資金が移動することも考えられますが、前回のアメリカの利上げ時(2005年頃)もアメリカドルの上昇は見られず、むしろ、アメリカドルが下落、新興国通貨が強くなったなどの事例などもあり、ここからの為替市場の判断は慎重にしていきたいところです。

 

ファンダメンタルズ的には、強い側で、ユーロ・日本円、弱い側で、トルコリラ・ニュージーランドドルが基本路線です。しかし、足元でキャリートレードが復活している雰囲気もあり、逆に動く可能性も否定できないのが、予想を考える上では厳しいものになっています。

 

資源国通貨では、オーストラリアドルには有利な環境、産油国ではロシアがやや上値の余地があるかと思いますが、他は産油国には厳しい原油価格の推移になっています。南アフリカランドは、パラジウム価格の影響もあり、悪くない環境ではないでしょうか。ただ直近の値動きはやや心配です。

 

世界経済全体を見ていきますと、基本的には好調で、このままの経済成長はしばらく続きそうです。様々な分野でバブルの懸念が増していますが、足元で崩壊する予兆はありません。もう数年はこの状況が続くことになりそうです。世界の債務は新興国を中心に増加中、この動きが世界経済を引っ張って行っていると同時に世界の懸念事項にはなっています。住宅価格が頭打ちになったカナダ・オセアニア・北欧の各地域では個人消費や、個人債務にどんな影響が出るのか注意する必要がありそうです。

 

 

今年は一年を通しましても、為替の動きが穏やかでボラティリティが少ない状況が続きました。これは相場を予想するうえでは非常に厳しい環境でした。足元でもいかんせん相場観が全くなく、本当に何も見えていません。過去数年で最もスランプだと思われます。

そんな状況ですが、明日から個別通貨の予想を行います。どうかお付き合いください。

 

 

| コラム | 15:08 | comments(0) | trackbacks(0) |

周小川の功績と宿題

為替市場は、リスクオンの相場も、わかりにくい動きと言いますか、個人的に現状認識がはまっていません。アメリカドルが頭が重い展開になっていて、これが、主要国通貨安、新興国通貨高の要因になっている気がします。アメリカドルはファンダメンタルズ的にも、ここら辺が頂上なのかもしれません。

 

 

アメリカFRBの議長が来年2月にパウエル氏に交代になりますが、もう一つの超大国、中国の中央銀行である中国人民銀行総裁も3月に交代になります。

現在の人民銀行総裁である周小川氏は、2003年から3期15年間総裁の任務をつとめています。一番の功績は、人民元の自由化を高め、IMFのSDR通貨入りを果たしたことと言われますが、どちらかというと、中国の経済をここまで牽引してきたこと自体が功績のように思われます。

 

為替や金融市場の国際化、2015年の株式バブルへの対応、シャドウバンキングへの規制、不良債権処理用のバッドバンクの設立と運用、供給側改革と、人民銀行が関わる案件は、巨大なものが多く、その影響力は大きなものでした。しかし中国の中央銀行は政府との独立性が低く、金融政策が実質国策のため、中央銀行の意見と中央政府の政策にヅレが生じることあり、そういった政策は必ずしも効果的だったとはいえないこともあります。例えば、周氏は、常に不良債権の処理を急ぐべきと表明しているにもかかわらず、党・中央政府の動きは鈍いものでした。債務問題にしろ、株式市場の話にしろ、人民銀行からの話は的を射ていると感じさせることが多く、政策に期待を持たせるのですが、そういった問題への対策は場当たり的なものに変わってしまう印象です。そういった環境の中で国際社会からの矢面に立ち、意見を表明してきた周氏への信頼は国内外から絶大な信頼を置かれていました。

 

周氏は先日10月に「ミンスキーモーメント」について触れました。ミンスキーモーメントとは、金融市場の価格が暴落が始まるする瞬間のことで、このようなことを話すことで、市場に警戒を促したことになります。

任期終了直前にこのようなことを話すのは周氏らしいともいえますし、改めて、現在の金融市場を見直さなければならないと感じさせられるものでした。

 

 

住宅価格・シャドウバンキングの問題・通貨の自由化・国際化にしろ、中国の金融問題は、道半ばです。また現在も大量の不良債権が残っていて、これの処理が今後の課題です。周氏が残していった宿題はとても大きなものになります。

現時点で、次期人民銀行総裁は公表されていませんが、次期人民銀行総裁にののしかかる責務が、非常に巨大であるということは、間違えようのないことになりそうです。

 

| コラム | 15:13 | comments(0) | trackbacks(0) |

2018年 為替・金融業界10大予想

2017年も終わりに近づいてきたと言うことで、それっぽい企画。この時期になりますとよく見かけるやつです。

当たるとか、当たらないとかはどうでもよくて、面白ければ良いのだと思います。面白くないけど。。。。

 

【2018年 為替・金融業界10大予想】

 ・WTI1バレル=80ドルを突破

 ・ユーロ一人勝ち ユーロドル 1.5を回復

 ・世界的に住宅価格が大幅に下落

 ・日経平均30000円を突破

 ・FRB6回の利上げ

 ・イギリスのインフレ率が5%を超える

 ・サウジアラビアリヤルがドルペッグ制を廃止

 ・中国の輸出が減少 貿易赤字に

 ・日銀総裁が白井さゆり氏に

 ・カナダ・オーストラリア中銀が量的緩和を開始

 

解説します。

 

 

・WTI1バレル=80ドルを突破

供給量が予測を下回れば十分に可能性があります。80ドルは厳しいかもしれないけれど、上方向の動きが基本路線。

 

・ユーロ一人勝ち ユーロドル 1.5を回復

ファンダメンタルズ的にユーロが強気予想なのは確実。どれだけ上昇するかはECB辺りの動き次第でしょうか。

 

・世界的に住宅価格が大幅に下落

ここまで世界的に上昇してきた住宅価格ですが、ここに来てすでに一部地域で頭打ちの様相を見せています。2018年は下落の可能性もあります。

 

・日経平均30000円を突破

十分に達成の可能性はある水準。

 

・FRB6回の利上げ

現時点での201年の予測は3〜4回の利上げです。新メンバーがタカ派なことも予想されているため、6回の利上げまでは想定すべき状態と思われます。

 

・イギリスのインフレ率が5%を超える

すでに3%を超えるインフレ率になっているため、5%もあり得る水準です。中央銀行には難しい判断が求められそうです。

 

・サウジアラビアリヤルがドルペッグ制を廃止

外貨準備が減少しているため、普通にありそう。来年中ではないかもしれないけれど、そのうち。

 

・中国の輸出が減少 貿易赤字に

近年、中国の貿易黒字額がわずかにですが減少しています。いきなり貿易赤字になる可能性は低いですが、可能性としては見ておきたいところです。

 

・日銀総裁が白井さゆり氏に

黒田総裁の続投がほぼ確実視されている日銀人事ですが、サプライズがあるかも。白川 → 黒田 →白井 のオセロ人事が見たかっただけです。

 

・カナダ・オーストラリア中銀が量的緩和を開始

現行のバブルの最先端を走っているのが、この2カ国です。現行の債務水準から予想すると、金融危機を招く可能性があります。ゼロ金利からの量的緩和という、黄金パターンが見られるかもしれません。

 

 

| コラム | 13:39 | comments(0) | trackbacks(0) |

産油国通貨の憂鬱

為替相場は、先月に一旦リスクオフが強まりましたが、現在は解消、落ち着いた相場になっています。年末も近づいていることもあり、値動きは小さくなるのかもしれません。

 

原油価格と産油国通貨の話です。

原油価格は、今年は年後半に上昇。現在の価格はWTI1バレル=56ドル台で推移しています。7月に45ドルを割っていたことを考えますと、そこから3割程度上昇したことになります。今年前半に見られた供給過剰感は払拭され、需給・在庫水準は安定しています。需要が旺盛なことから、原油価格はこれからも底堅く推移すると考えられます。ただし足下では投機筋による買い持ち額が最高水準を更新しているため、今回の相場はこの辺りが天井なのかもしれません。

来年2018年にかけましては、需要・供給ともに増加が予想されています。成長する新興国と、安定した世界経済が需要を支え、シェールオイルなどの増産により、供給量も増加すると考えられています。原油価格自体は、需給均衡のため、現在水準付近での値動きが想定されます。

 

この原油価格水準での産油国通貨を考えます。

今年の産油国通貨の値動きは芳しいものではありませんでした。原油価格と共に底は打っているのですが、伸びきらないと言いますか、上昇できていない状態です。

カナダやメキシコは経常・貿易赤字で、数値的にも良くありません。経常黒字国である、ロシアやノルウェーもさすがに2013年辺りと比べると、経常黒字幅が大幅に縮小していて、黒字額がほぼ「無い」と言っても過言ではない水準まで低下しています。足下で改善傾向は見られるのですが、現在の原油相場を見る限りは大幅な回復は厳しいと考えられます。ロシアはOPECとの協調減産をしているため、産油量が減少中。これが経常収支を悪化させています。

2018年も、もしWTIが60ドル強まで上昇したとしても、産油国の交易条件に与える影響は限定的なものとなりそうです。カナダやメキシコでは、原油価格の上昇よりも、資金がアメリカや他の主要国へ流れていく動きの方が大きくなるため、為替が下落すると予想されます。ここからの産油国通貨はやや厳しめに動くことになりそうです。

 

そしてもう一つ考えなければいけないのが、サウジアラビアの通貨「リヤル」です。リヤルはドルペッグ制を採っているため、価格水準が大きく割高で推移しています。原油価格の下落と共に、売り圧力が強まったリヤルをサウジアラビアの外貨準備によって、買い支えているの現状です。現在の外貨準備の水準を見る限りは、あと数年程度は我慢できるかもしれませんが、現実的には来年にドルペッグ制の廃止の可能性があり、その場合は中東地域を中心に、経済の混乱に見舞われることになりそうです。

 

 

 

個人的には、もう少し原油の需給が逼迫し、原油価格も急騰する可能性も予想したのですが、なかなかそうはならないようです。シェールオイルの機動力はやはり凄いものがあります。

低い原油価格は、ユーロ圏・日本・韓国などの非産油国にとっては恩恵をもたらすことにもなります。来年も非産油工業国通貨を、上昇する通貨の中心と予想したいと考えています。

 

| コラム | 14:44 | comments(0) | trackbacks(0) |

中国からの資金流出は減少したのか

先週末ぐらいから、日本円が強い状況です。特段材料があったように見えませんが、リスクオフムード。新興国・資源国から主要国へ資金が移動しているように見えますが、ユーロが弱めの動きであったりと、複雑な様相です。明確な方向感が出るまでには、もう少し時間が必要なのかもしれません。

 

 

先日発表されたスウェーデンの不動産価格が2が月連続の下落、下げ幅はリーマンショック直後以来の3%と大きな下落となりました。スウェーデンでは、もともと首都ストックホルムを中心に不動産価格が高騰しバブルの様相を見せていたのですが、これが調整局面に入った可能性があります。同じような変化は、カナダ・オーストラリア等でも見られ、世界的に高騰していた不動産価格がここにきて、頭打ちになってきたようです。

またアメリカでは、ここまで大きく上昇してきた株価が少し弱含んできています。中長期での上昇基調は続いているのですが、ここまで特に強かったSP500指数は、ここ1ヶ月ほど横ばいの動きになっています。

このようにここまで一本調子で上昇してきた相場ですが、ここにきて少しずつですが変化が始まっているように見えます。そしてこれらの変化には、中国からの投資資金の減少が、関係しているのではないでしょうか。

 

ここ数年の世界の不動産市場や株式市場で存在感を増しているのは、新興国からの国境を越えた資金移動です。その中でも特に海外への投資額が大きかったのが中国で、先進国の不動産や株式に莫大な金額が投資されたとされています。この莫大な資金が、不動産を上昇させ、株価を過去最高値に引き上げています。

この流れが変わったのは今年の春先です。中国政府が海外への資金移動の規制を強化しました。その規制の効果がここに来て現れ、様々な市場で変化が出てきたのだと考えられます。中国政府は、これまでも海外への資金移動の規制をたびたび強化してきたのですが、香港を利用した資金移動が抜け道として使われ、実質的なの資金移動が減ることはありませんでした。しかし、今回の規制は厳しく、強い実効性がみられたようです。中国からの資金移動の減少を明確に表す指標は見つけられなかったのですが、中国の外貨準備が今年に入り、減少から横ばい・微増への変化していることは、こういった動きの状況証拠になると思われます。

 

さて、問題になるのはこれからの市場の動向です。本当に中国からの資金移動が減少しているならば、日々下落圧力が強まると考えられます。少なくとも、ここから上値を目指すような動きは限定的になると考えた方が自然でしょう。不動産や株価が下落したならば、そこからの影響は多岐にわたります、個人消費や雇用、金利・為替・金融機関の経営など幅広い分野に影響が出ることになるでしょう。どの市場がバブルなのか、どの市場にどのような資金が入ってきているのか、もう一度確かめる段階に来ているのだと思われます。

 

 

リーマンショックから9年、ギリシャ危機、バーナンキショック、石油価格の暴落など、市場は様々な問題を乗り越えてきました。しかし、この間に本格的な信用収縮は経験しませんでした。ここからの最悪のシナリオは、新興国の資金が本格的に本国への巻き戻ることに伴う、信用収縮を含んだ金融危機です。もちろん、現在はそんなことを織り込む必要は無いのですが、何かいやな予感がします。最悪のケースを想定しながらも、日々の数値をしっかり確認し、相場に向き合っていきたいものです。

 

 

| コラム | 19:51 | comments(0) | trackbacks(0) |

トルコリラが下落した理由を考える

為替市場では、それ程急激な動きというわけではないですが、新興国から主要国への資金の流れが見えるようになってきました。その中で、特徴的な動きを見せているのがトルコリラです。このトルコリラの下落の要因を探ります。

 

 

一般的に為替の強さは次のような式になります。

 

  (為替の強さ*) = (投資資金の出入) + (貿易の強さ)

   

    *(為替の強さ)はそれぞれの通貨の実質実効的な為替の理論値。

 

第1項の(投資資金の出入)は循環的なため、式にすると、

 

  (投資資金の出入) = αsin(市場のリスク許容度) 

 

   α : それぞれの通貨のリスクに対する反応度を表す定数。

 

と表せます。便宜的にsinと書きましたが、実際はまったく正弦波では無く、なんとなく循環している雰囲気が分かれば良いと思います。長期的に平均すると0になるというのが大切です。

トルコリラの場合、投資資金は大きく流出しているわけではないのですが、流入も減っていて、釣り合っているか、やや流入が多いぐらいのイメージです。

 

そうなると今回の下落は、第2項の(貿易の強さ)が要因になっていると考えられます。実際に貿易関連の指標を見ていきますと、トルコの貿易収支は昨年2016年は50億USD/月程度の赤字だったのですが、2017年に入ってからは70億USD/月程度と赤字幅が広まっています。2016年の値でも対GDPで考えますとかなり悪い値になります。さらにこの期間に、トルコリラが大幅に下落し、輸出に有利な環境を作っていることを考えますと、この値の悲惨さがより分かるかと思います。

 

トルコの(貿易の強さ)が低迷したのには3つの要因が考えられます。

一つ目は、東ヨーロッパ各国の台頭による、競争力の低下です。

トルコの主要産業は、自動車部品、機械、衣料品、一般消耗品、加工食品等の製造で、これを主にEU圏に輸出しています。これは日本における中国や東南アジアとの関係に似ています。トルコの経済成長はプラスで経済自体は伸びているのですが、個人消費が成長の主な理由で、製造業の伸びが鈍化しています。

これはハンガリーやチェコといった、東ヨーロッパの国で工業化が進み、今までトルコで生産していたものを代わりに生産できるようになってきたのが原因です。人件費の差が少ないため、同じEU圏で関税が掛からない東ヨーロッパの国での生産の方が価格競争力があり、トルコからの輸出は伸び悩むこととなっています。

 

二つ目は、観客数の減少です。

トルコは2015年までは、非常に人気の高い観光地でした。そのため、同規模の新興国と比べ観光収入が大きく、トルコ経済を支えていました。しかしその後、テロやクーデター未遂、周辺国での紛争などが重なり、治安が悪化、2016年以降、観光客数・観光収入は3割程度減少しました。観光収入は2017になれば戻ると考えていたのですが、現在のところ回復の兆しが見えません。ヨーロッパやアメリカとの政治的関係悪化も観光客数の減少に影響を与えていると思われます。

外国人観光客業界というのは、基本的には非常に利益率が高い業界であり、世界的にも規模が急拡大している産業です。この分野の縮小というのは、トルコの交易条件に大きな影響を与えているのは間違いありません。

 

三つ目は、エネルギー資源価格の上昇です。

トルコでは、一部天然ガスが産出できますが、基本的にはエネルギー資源輸入国です。そのため、足下での原油価格の高騰は交易条件の悪化を意味します。人口の増加に伴い、トルコ国内のエネルギー使用量は増えていて、価格の高騰と輸入量の増加のため、トルコの交易条件はさらに悪化することが見込まれます。

 

 

このようにトルコの貿易環境は非常に厳しいものがあります。また今後しばらくは改善される見込みがないことも特徴です。とりあえず、観光客が戻ってくれば良いのですが、まだしばらく先になりそうです。

もう一つトルコリラに関する懸念材料といえば、上記式の第1項の(投資資金の出入)についてです。これから先、主要国の金融政策がより緊縮的になると見込まれています。アメリカ、ヨーロッパなどの主要国へ向かう投資資金が増えることになります。そうなりますと、相対的にトルコのような新興国からは資金が逃げ出し、為替を押し下げる要因になると考えられます。今後数年程度は、猛烈に厳しい下落圧力がトルコリラを襲うことを想定する必要がありそうです。

 

| コラム | 08:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
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