KAWASE BIIKI

メキシコペソ 為替予想 2017年10月 くりっく365上場記念

本日、くりっく365にメキシコペソ/日本円(MXN/JPY)が上場します。それを記念してというほどではないですが、良い機会のようなので、メキシコペソの為替予想をします。

それにしても、東京金融取引所さんは、凄いタイミングで上場させたような気がします。

 

★総評 やや弱い。

メキシコペソはここからの下落を予想します。水準的にやや割高。短期的に急落する可能性は低いと思われますが、上昇する理由も弱いため、中長期的に徐々に下落していくと考えています。

2017年は年初に最安値を付け、そこからは実質実行ベース20%程の上昇と急回復しました。ここから上昇する可能性がないわけではないですが、その水準を長く維持するのは難しいと思われます。

 

★経済状況 マクロ指数等

メキシコ経済は好調です。失業率が3%台で安定、経済成長率はプラスを維持しています。しかし工業生産も個人消費も伸びているわけではなく、エネルギー産業に依存した成長になっています。貿易では貿易収支は大幅な赤字水準も、直近の経常収支が回復傾向にあるため、もうしばらく様子を見たいところ、アメリカとのNAFTA再交渉は懸念材料です。その他にも対外債務の増加、民間企業・消費者の債務の拡大、株価がややバブル水準、と長期的に顕在化しそうなリスクが積み重なっています。他の新興国と比較した場合、ものすごく悪い問いことは無いのですが、全体的にあまり良くない数字になっている印象です。

 

原油価格に関しては、2018年はWTI1バレル=60ドル程度を想定しています。メキシコ経済には好材料になりますが、交易条件が大幅に改善するほどでは無いと思われ、為替への影響も中程度を予想します。

 

★金融政策

政策金利はこれまでの6%台と高いインフレ率に対応するため、緊縮的な金融政策になっていました。インフレ率が下落傾向を見せ始めたため、ここからは利下げを行う可能性が高そうですが、利下げを急ぐ理由もないため、ゆっくり引き下げる動きになると予想しています。

 

 

★トレードアイデア

・MXN/EUR  S

・MXN/JPY  S

 

下落目線で見ていくのが基本になります。ペア相手はファンダメンタルズ的に強いユーロが最適になりそうです。ただせっかくなので、日本円とのペアでのショートもお勧めして良さそうです。ただし、メキシコペソをそこまで積極的にポジションを持つ必要は無いと思います。

主要国の金融政策が緊縮的に進む中で、新興国通貨はここからの期間、厳しい売り圧力にさらされることになります。こういった状況でポジションを取るならば、よりファンダメンタルズが悪い、トルコリラ辺りの売りの方が明確な動きになりやすいと予想されます。また、原油価格の上昇を予想する場合では、経常黒字国のロシアの通貨ロシアルーブルを買った方が、期待値は高くなります。

そういった意味で、メキシコペソはやや中途半端な位置にいるように感じられます。このタイミングで、メキシコペソを売り買いする必要性はあまり高く無さそうです。

 

 

| コラム | 05:53 | comments(0) | trackbacks(0) |

世界的な金融引き締めが新興国通貨の下落を誘う

世界中で選挙などがあり、相場は不安定ながらも大きくは動いていません。日々の材料をこなしているといった雰囲気です。次の材料は何かと探している段階のようですが、もう少し長期的に影響が出る話をしたいと思います。

 

現在金融分野で起こっている大きな変化といえば、アメリカの金融政策の緊縮化です。昨年12月から3回の利上げが行われ、これから年末までに1回、来年も3回から4回程度の利上げが見込まれます。さらに,バランスシートの縮小も同時進行で行われています。この縮小規模は3ヶ月ごとに拡大され、これから日を追うごとに、アメリカの金融政策の緊縮化が進むと言うことになります。

ヨーロッパに目を向けますと、ECBも債権買取額を減少させています。といいますか、市場に買い取り可能な債券が減少してきたため、買取額を減少させる必要が出てきているということです。ECBはドラギ総裁を中心に、緩和的な政策を続けたいように見えますが、使用できる手段が限られている他、ヨーロッパ経済が好調のため、量的緩和に否定的な意見が通りやすくなってきたという背景もありそうです。

日本では、日銀の量的緩和は続いていますが、国債の買取額は減少してきています。これも、ECBと事情は似ていて、日銀が買い取り可能な債券は減少しているのが原因の一つです。また、株式(ETF)等の購入も行っていてこれは継続するでしょうが、ここから拡大させることは無さそうです。

 

このように、世界の中央銀行は、結果としてですが、同時期に金融政策が変更になっています。インフレ率の伸びも鈍化しているため、実質金利が上昇し、金融政策は緊縮的に向かうことになりそうです。

 

そうなると心配されるのは、新興国通貨です。主要国の金融政策の緊縮化のため、主要国に資金が集まりやすくなることが想定されます。金融引き締めで思い出されるのは2013年のバーナンキショック(テーパータントラム)ですが、このときは、新興国通貨は10%以上下落しました。

今回はショックという雰囲気ではないため、緩やかながら、徐々に新興国から資金が引き揚げられると思われます。これから為替の下落が長続きする可能性がありそうです。

 

実際最近の為替市場に、変化の兆しのようなものが感じられます。新興国通貨はこのところ弱含んでいます。もちろん、目に見える原因は様々で、ニュージーランドやトルコといった国では政治リスクが高まっていて、これを材料に為替が下落しています。しかし、これらの国には、すでに世界中の資金が集まってきていて、通貨は割高になっています。そのため、少しの資金流出で、大きな下落になっているとも考えられます。現在、ファンダメンタルズ的に大幅に割高な新興国通貨がいくつかあり、市場がそういった通貨を下落させるための材料を必要としているように思われます。

 

 

主要国の金融政策の影響は、来年以降顕著になっていくでしょう。これからの相場で、新興国通貨、特に経常赤字の新興国通貨を持つのは、非常にリスクの高い行為になります。もし現在、何らかのロングポジションを持っている場合は、ここら辺でポジションを閉じておくことを、非常に強くお勧めします。

 

 

| コラム | 07:15 | comments(0) | trackbacks(0) |

買いたい通貨・売りたい通貨2017・10

2017年も第3四半期が終了。一旦相場観などをまとめます。

 

世界経済は好調そのもの、新興国を中心に経済成長率が高く、世界的に失業率が下落するなど、世界的好景気といった様相です。

注意しなければならないのは世界的な債務水準の高さです。経済成長中の新興国で債務残高が増え、不良債権の増加が心配されます。先進国では、カナダやオーストラリアの債務水準(個人・民間企業)が危険水準にあり、なにかのきっけけがあった場合、金融機関の業績が著しく悪化する恐れがあります。

しかし、実際足下では、アメリカの株価も堅調のようなので、「バブルはまだまだまだまだ続きます。」というのが基本路線でしょうか。各国の中央銀行の金融政策も甘めなため、この景況感がしばらく続くのでしょう。次に金融危機とかバブル崩壊とか言われるのは1年以上先になりそうです。

 

為替に関しましては、基本的にはリスクオンの相場展開を予想。ユーロの上昇が一服し、全体的に材料不足の感があるため、年末にかけては動きが少ないと想定しています。

気になるのは、アメリカFRBのバランスシート縮小の影響です。アメリカドル買いの材料になると思います。規模的に大きいものでないですが、確実に相場に影響を与えることになりそうです。ただアメリカドルも、割高水準のため、買いで持つモチベーションは高くありません。

その他、材料になりそうなのは、原油価格の上昇でしょうか。原油価格がWTI1バレル=50ドル以上で安定してきたため、この辺を材料に為替予想をしていきたいところです。

 

 

▽買いたい通貨

 

★ロシアルーブル(RUB)

6月に弱気予想をした通貨ですが、「中立〜やや強い」位の評価へ上昇修正しました。当然原油上昇の恩恵を受ける通貨と言うことですが、水準的にはそれ程割安感はなく、どうかなといった雰囲気もあります。他の通貨(特に他の産油国通貨)の中で、買いやすい方かなといった印象です。

 

★日本円(JPY)

ユーロでも良かったのですが、あえて日本円で、中期的な安値水準と、直近の値下がりによって買うタイミングが北かなといった雰囲気です。下値は堅そうですが、上値も重い印象。原油価格の上昇もマイナス材料になり、注意は必要になりそうです。

 

 

 

▽売りたい通貨

 

★ニュージーランドドル(NZD)

カナダやオーストラリアと共に、債務残高の増加が心配されます。為替の水準が高いため、経常赤字が増加中、さらに(カナダやオーストラリアと異なり)原油価格の上昇も加わるため、中期的に厳しさが増してきそうです。まず個人消費に影響が出るでしょうから、その辺りの指標などを注視していきたいところです。

 

★トルコリラ(TRY)

ヨーロッパとの関係悪化から、経済が伸びきらない印象です。輸出が増えず、輸入が増加、経常収支が悪化傾向です。こちらもエネルギー資源輸入国であるため、原油価格上昇の影響が心配されます。

 

★イギリスポンド(GBP)

書くことがなくなったら、とりあえずイギリスポンドの売りを推奨して行くスタンスなので、とりあえず売っておけといった感じです。直近値上がりしたこともあり、タイミング的にも売りで入りやすいかなと思います。経常赤字が大きくなってきていて、現行の為替水準を維持するのが困難な状況です。まるで新興国のような扱いで申し訳ないですが、ここから弱い通貨の代表のような動きになるのではないでしょうか。

 

 

買いたい通貨を書くに苦労しました。リスクオン相場なので、経常黒字の新興国・資源国通貨というのがセオリーなのですが、あまりめぼしいものが見つからず、日本円と書いてしまった時点で、理屈は成り立っていません。

年初から中期以上でのボラティリティが低く、長期の投資家には厳しい相場環境になっています。「休むも相場」という格言がありますが、今がそういう時なんだと思います。ポジションを減らし、相場を眺めるのが得策なのかもしれません。

 

 

 

| コラム | 10:22 | comments(0) | trackbacks(0) |

原油価格の上昇と為替への影響

目先の為替は動きがないわけではないですが、大きくは動かなそうな雰囲気。ユーロドルの頭が重くなってきたこともあり、一相場終わった感があります。そんな中原油価格の上昇が顕著になってきました。産油国通貨の動きをもう一度確認したいところです。

 

原油価格は北海ブレントが1バレル=57ドル台で推移、一時は59ドル台まで上昇し、2015年7月以来の高値水準です。WTIは1バレル=52ドル台での推移となっていて、スプレッドが広がっています。このスプレッドの広がりは、アメリカの南部を襲ったハリケーンの影響などが考えられます。

EIAの原油在庫統計を見てみますと、原油在庫は直近増加傾向。水準はほぼ前年と同水準です。ガソリンは前年比大幅減少、直近の減少幅が大きくなっています。ディスティレート(留出油)の在庫もガソリンと同じく、前年比、直近共に大幅減少になっています。全体としては、前年比で減少傾向になっています。原油とガソリン・ディスティレートの直近の傾向が異なるのは、これもハリケーンの影響です。

この前年比で在庫が大幅に減っているという現象は、シェールオイルの生産が急増した後の、ここ数年には無かった現象です。新興国を中心とした需要の伸びが在庫減少につながったと考えられます。新興国は景気が拡大基調にあるため、この旺盛な需要の増加はしばらくは続くことになりそうです。

 

原油価格の上昇の為替への影響を考えます。当然、原油輸出国通貨にはプラスの材料なのですが、個別に見ていきますと、割とグダグダです。

まず、代表的な産油国通貨ロシアルーブルですが、これは、中長期で買い予想で良いと思います。しかし、今年前半の原油価格下落の際に、それ程値が落ちて無く、現在水準もそれ程割安ではないので注意が必要です。次はノルウェークローネですが、こちらはどちらかというと、天然ガス価格の影響を大きく受ける通貨です。天然ガス価格は原油価格ほど明確な上昇局面ではなく、もう少し様子を見たい状況といったところでしょうか。カナダ・メキシコは、経常赤字が大きくなってきたため、この値をどれだけ小さくできるかが鍵を握りそうです。ここ数ヶ月上昇傾向にあった通貨ですが、水準は割高とみられ、現状では売り目線で見た方が安全だと思われます。

原油輸入国通貨では、ニュージーランドドル・トルコリラ・南アフリカランド辺りは注意が必要でしょうか、経常赤字が大きくなっているときに、交易条件の悪化材料が加わるため、貿易的に大変厳しいものになると思われます。また、日本・中国・ユーロ圏辺りの経常収支の変化にも気を配っておきたいところとなります。

 

 

今回の原油価格の上昇は、クルド人自治区の住民投票といった、政治的なイベントがあったための一時的なものでしょう。しかし、需給を見てみても、年初にあったような供給過剰感は完全に解消されているため、今後も原油価格は底堅く推移しそうです。

アメリカのシェールオイルの掘削状況等を横目に見ながら、来年以降の原油相場を予想するのに良い時期なのかもしれません。

 

 

| コラム | 09:22 | comments(0) | trackbacks(0) |

カナダ中銀の利上げは興味深い

足元では、日本円が独歩安で、ややリスクオンの展開。短期的には、いろいろな材料が日々消費されていますが、長期的な視点で見ても重要な転換点が迫っているように思えます。注目はカナダです。

 

今月、カナダ中央銀行が政策金利の引き上げを決定しました。政策金利は0.25%上がり、1.0%となりました。政策金利の引き上げは2か月連続になります。カナダの失業率はリーマンショック後では最低水準にあり、経済も拡大中です。2015年ごろには、資源価格下落の影響もあり、マイナス成長の時期もありましたが、足元では回復してきています。そのような経済と、1%程度のインフレ率を考えると、政策金利の水準は妥当性があります。中央銀行の強気の姿勢を見る限り、もう少し上昇するのかもしれません。

 

ここで考えたいのが、政策金利を上昇させたことによる不動産価格への影響です。カナダでは不動産価格が上昇を続けていて、トロントやバンクーバーといった主要都市では、所得に対する不動産価格の割合が、世界最高の水準で不動産バブルが指摘されています。

中国や東南アジアの富裕層を中心とした、移民が増加したほか、それらの地域からの不動産への投資が活発化しました。また、世界を対象にした不動産投資信託が増加したことも、この地域の不動産価格の上昇要因になっています。

最近になり、外国籍による不動産取得規制や住宅ローン審査の厳格化、中国の資本流出規制等の効果が出てきたのか、主要都市では価格の下落が始まったという情報もありますが、カナダ全土でみた場合では、不動産価格の上昇は続いているようです。

 

そして、今回の利上げです。政策金利の利上げは、住宅ローン金利の上昇に直結します。住宅ローンの支払額の増加はシンプルに需要減少につながるため、より明確に不動産バブルを潰すことになりそうです。といいますか、今回の利上げの目的こそが、この不動産バブル潰しだったのだと思われます。カナダ中銀が明確に信用バブルを潰しに来たということです。そういった意味で、カナダ中銀のこの2か月の動きというのは、大変に興味深いものがあります。

 

今回の不動産バブルは、カナダの他、世界の主要都市でも起きています(カナダはかなり悪いほうの水準)。遠因としては、世界的な緩和政策があったような気がします。住宅ローンが低金利化したため、不動産開発が大きくのびました。また、債券金利が低下しているため、利回りを求める資金が、不動産に流れてきました。ここら辺は、リーマンショック前の世界の不動産と、当時緩和的な金融政策をとっていた日本銀行の動きと同じものと思えます。

 

アメリカが利上げを行い、カナダも利上げを始めました。何かが変わるような気がします。(大きな動きは、もう少し先になりそうですが)さて私たちは、どう動けばよいでしょうか。考えを始めるには今秋はちょうど良い季節になりそうです。

 

| コラム | 11:07 | comments(0) | trackbacks(0) |

金融市場から見た鉱山資源の偏在性

為替市場は一服感。特に材料も無く、動きも無くといった雰囲気です。原油価格がWTI1バレル=46ドル台まで下落し、こちらも一服感があります。リスクオンとはちょっと違うようですが、目先のリスクは遠のいたようです。

 

銅の価格が急上昇しています。代表的な先物価格はここ1年で5割ほど値上がりしています。銅は、主に電気を流すための銅線に使用されるため、インフラを構築中の途上国での需要が多くなります。また、家電、自動車、工業製品など幅広い分野で使用されるため、世界経済とも密接に関わっていて、今回の価格上昇は世界経済の順調な成長を表している可能性もありそうです。(たぶん違います)需要は底堅く、しばらくは高値が続くと予想されます。

需要は世界中にある銅ですが、その生産国には偏在性が強く、およそ3分の1はチリでの生産になっています。逆にチリの方から見た場合では、銅価格が交易条件に大きな影響を与えています。銅価格が上がれば、国が豊かになりますが、銅価格が下がれば、国が貧しくなるというリスキーな状態です。ちょうど、大手産油国と原油価格の関係と同じになります。

 

産出量の偏在性が話題になる鉱物資源は他にもあります。規模が大きいのは、プラチナでしょうか。プラチナの産出量の7割強が南アフリカ、残りの多くはロシアです。

プラチナは自動車の触媒・装飾品・金融商品としての用途がありますが、銅に比べると用途が狭く、実需によって値が動きやすくなります。南アフリカでは、鉱山のストライキがたびたび起こっているため、これによって値が動くことがあるのは、皆さんご存じだと思います。

また、プラチナと同じように自動車の触媒として使用される金属にパラジウムがありますが、こちらも南アフリカがほぼ独占となっています。

 

そして現在注目され、これからさらに注目の的となるといわれている鉱物資源がリチウムです。これは、電気自動車の二次電池として使用される、リチウムイオン電池の材料になる物質です。こちらの産地も偏在性があり、主な産地は、またもやチリ、そしてオーストラリアとなっています。

これから消費量が飛躍的の伸びると予測されているため、値段が跳ね上がる可能性が指摘されていますが、値が上がれば、電気自動車の普及を妨げることになり、ここからの予測は実需との兼ね合いもあり難しくなりそうです。

 

電気自動車の普及に関しては、他にも様々な資源の需給に影響を与えそうです。エネルギー資源の使用量減少の他、樹脂素材の普及から(内燃機関が必要ないため、耐熱性の重要度が減り)鉄やアルミニウムの需要にも影響を与えそうです。

 

 

ということで、チリペソを買おうみたいな話になってしまいましたが、だいぶ適当な分析をすれば、チリペソの上昇予測は大きくは間違ってはいないのだと思います。なかなか馴染みのない通貨ですが、手に入る方は検討してみる価値はありそうです。

その他も鉱物資源も、新興国を中心に基本的には需要は伸びそうです。為替への影響が大きな分野であるため、生産量の増加を確認しつつ、価格には常に気を配っておきたいところです。

 

| コラム | 16:15 | comments(0) | trackbacks(0) |

クレジットサイクルの転換と為替

週明けの為替市場はリスクオンの展開といいますか日本円安です。先週の相場がそのまま巻き戻されているような感じです。ここからは、材料も少なそうなので、しばらくは動きも穏やかになるかなと思っています。

 

 

世界的に債務残高が増加しています。主要先進国では、金融政策の変化もあり、この債務のリスク部分が少し気になるところです。

 

新興国では、2008年のリーマンショック後に債務残高が急拡大して、現在はリーマンショック前の水準を軽く超えています。これは、金融市場がグローバル化したことで、新興国の政府や企業が、世界市場で債務を調達することができるようになったのが大きな要因です。また、新興国国内でも、金融機関が発達し、国が豊かになったことで、企業の資金需要の増加、住宅ローン・消費者ローン市場の拡大なども、債務残高増加の要因となっています。

一方、主要先進国ではどうでしょうか、企業債務はそれ程拡大していません。リーマンショック後に大きく減少して以降、その水準まで回復はせずに、最近になりようやく少しづつ増加が始まった様子です。これは、リーマンショック後の金融規制によって、企業への貸し出しが厳格化したことの影響と思われます。また、政府債務は拡大傾向にありますが、これも新興国ほどの伸び率ではありません。

 

一般に債務の増大局面では、金融市場はリスクオンになります。借金をして株式を購入し(レバレッジの増加)、株価は上昇します。債券市場では、より信用力の低い国への資金流入見られるようになります。為替はこの債券の流れに同調し、新興国通貨が高くなります。

債務縮小局面では、この逆に、株価は下落し、資金は主要国に戻ってくるため、為替は主要国通貨高になり、リスクオフ相場になります。

 

現状はどうでしょうか、新興国では、債務が増加中です。しかし、水準から鑑みて、ここから大きく増加することは考えにくいところです。現状の貸し出しの中にも、かなり質の悪いものがあり、不良債権の増加が問題になりそうです。先進国では、債務自体のノビは今ひとつなのですが、中央銀行による、金融政策の緊縮化が見られ始めているところです。これは、理論上は債務を縮小されやすい効果を持ちます。

つまり、全体的に、リーマンショック後のクレジットの拡大局面から、クレジットの縮小局面への転換が始まったか、もうすぐ始まろうとしているぐらいへと変化しつつあるような気がします。

 

もしこのようなクレジットサイクルの転換が起こるとするならば、為替市場は忙しくなると予想されます。クレジット縮小局面での、新興国通貨から主要国通貨への資金の流れは急速で、リーマンショック時には数ヶ月で30%以上下落した通貨が多数存在しました。(リーマンショックを例えに出すのはあまり適切では無いのですが)現状割高水準の通貨はカナダドル・ニュージーランドドル・イギリスポンド・トルコリラ辺りでしょうか、この辺りの通貨は大幅な調整がなされると考えられます。

 

 

正直なところ、先進主要国ではまだ、債務の増加余地がかなりあると思っていますし、実際に増加するでしょう。この辺りで、先進主要国と新興国間のクレジットサイクルにズレができるような気がします。世界の市場はつながってはいますが、金融政策や景況感、債務残高は当然、国や地域ごとに異なるものになっています。世界全体がリスクオン・リスクオフになる訳では無く、なにか複雑な動きになるのでは無いかと予想しています。

しばらくのリスクオン相場の後、長く大幅な調整が起こるような気がします。きっかけは、全く予想できませんが、とりあえずは、アメリカの株式市場の下落辺りが目立ちやすいところなのではないでしょうか。

 

 

| コラム | 13:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
■ LATEST ENTRIES
■ CATEGORIES
■ ARCHIVES
■ SEARCH
■ LINKS
■ PROFILE