KAWASE BIIKI

ユーロキャリートレードの巻き戻しに注意

ユーロが先週の上昇後も底堅い動き、底値圏を脱しつつある状況です。

 

ユーロインデックスは年初来9%程の上昇、先週の上げ幅は3%程度となっています。理由としてはご存じの通り、ECBのドラギ総裁が金融政策を緊縮的なものに方向転換するような発言をした、というのが大きいようです。(個人的にはそうは聞こえなかったのですが・・・)現状のユーロ圏経済を見ても、金融政策の緊縮化は妥当性がありますし、ここから、さらなる緩和の方向に進む可能性は無く、ユーロを買いやすい状況になっています。

ユーロ圏の経常収支はGDP比3%強の黒字と堅調のため、水準的にもここから通貨を下落させる理由がありません。

 

 

しかし、そうなりますと気をつけなければならないのは、キャリートレードの巻き戻しです。

リーマンショック後、先進国の金融緩和を受けて、投資資金が新興国に流れています。低金利の先進国で資金を調達し、名目高金利の新興国へ投資することをキャリートレードといいます。資金を調達する通貨としては、日本円・アメリカドル・ユーロなど、投資先はオセアニアやトルコ・南アフリカ・ロシア・メキシコ・ブラジル等々の高金利債券です。

アメリカのテーパリング開始後は、資金調達通貨としてのアメリカドルが減少したため、ユーロの割合が増えることになりました。そしてこの投資された資金が、ECBの金融政策の変更を受け、新興国から巻き戻ってくる可能性があるということです。

 

現在の金融市場はどちらかというリスク選好(リスクオン)の流れのため、新興市場からの巻き戻りは、まだ少ないと思われます。それでも、資金調達通貨をユーロから日本円等他の低金利通貨へ変更する動きは、あるかもしれません。その場合はユーロ高、日本円安になると考えられます。

ここから、実際にFRB・ECBの米欧中央銀行が緊縮政策を続けるとなると、新興国との名目金利差が縮小する(思惑が増える)ため、新興国からの資金移動が増加します。この場合の通貨の動きは、ユーロ高・新興国通貨安です。特に経常赤字の新興国場合、経常赤字分と、資金の流出が重なるため、下落が急なることが予想されます。これからの時期、経常赤字の新興国通貨を買うことは、ほぼタブーと言って良いでしょう。

そして来年以降、アメリカFRBの政策金利が何らかの理由で上昇できないようになりますと、アメリカドルも弱くなり、ユーロの独歩高の可能性も考えられます。

 

米欧が緊縮政策 +  リスクオン =   日本円(JPY)安
米欧が緊縮政策 +  リスクオフ =   新興国通貨安
欧州が緊縮政策 +   米国の金利が上昇しない =   アメリカドル(USD)安

 

 

キャリートレードの巻き戻しは、タイミングの見極めがものすごく困難な上に、ボラティリティが大きくなる傾向があり、相当な注意が必要です。これまで資金が入ってきている新興国がどこなのか、経常収支の値はどうなっているのかなど、今一度確かめたほうが良いのでしょう。

今一番安全な通貨は、間違えなくユーロです。足下で大きく上昇したため、一度調整はあるかもしれませんが、中長期で見た場合、これほど理想的な位置にあるのは珍しいことです。とりあえずユーロを買う場合に、どの通貨を売りで持つのか、それを考えることが、ここからの投資戦略の基本になると思われます。

 

| コラム | 14:19 | comments(0) | trackbacks(0) |

相場環境の確認

とりあえず久しぶりなので現状の確認から。

 

難しい相場環境が続きます。年初からの値動きを見ても、値幅が小さく、方向感のない状態です。市場全体としては、リスクオンムードなのですが、極端な資金移動が確認されていません。アメリカの利上げ局面と相まって、身動きがとれない雰囲気のようです。WTI原油価格が44ドル台と、エネルギー価格が下落しているため、この辺りからの動きが注目だと思いますが、目立った動きになるのは、もう少し先なのかもしれません。

 

 

主要国通貨の動きは、アメリカドルインデックスが、97前後とやや下落傾向ですが、大きな動きではありません。ユーロも多少強くなっていますが、こちらも特に強調するような動きにはなっていないようです。日本円は動きも材料もなく。イギリスポンドは、政治日程により動きがありましたが、年初の水準とそれ程変わらずとなっています。ユーロドルを見た場合では、年初〜6%程度のユーロの上昇となっていて、動いているのですが、その歩みはゆったりとしたもののようです。

 

新興通貨国では、エネルギー資源価格が下落したため、産油国である、ロシアルーブルやノルウェークローネに下落圧力が掛かりそうですが、上昇局面だったことと、経常黒字国であることが幸いしてか、あまり目立った動きにはなっていません。産油国で経常赤字国のカナダドルは厳しそうですが、鉄鉱石や石炭の価格が上昇しているため、貿易的な損失が相殺されている模様です。

オーストラリアドルは、鉄鉱石・石炭価格が反映され、貿易収支が改善しましたが、決して強くなくやや不安定な動き。ニュージーランドドルは乳製品・食肉などの食料品価格が上昇したため、貿易収支が改善、直近ではオーストラリアドルよりも強い動きになっています。

南アフリカランドは、金属価格の上昇から貿易収支が改善、上昇局面もありましたが、政治的な理由により、大幅な下落も起こりました。ブラジルレアルも、貿易収支が改善しているため、今後の上昇に期待です。

 

非資源国では、中国人民元がやや弱めの動き、貿易黒字幅が縮小していますが、今後はエネルギー価格の下落の恩恵を受けそうです。トルコリラは、昨年末の下落から、一旦底は脱した感がある動きです。まだ大幅な貿易赤字が残されているため、不安がある状況ではあります。ポーランドズロチやハンガリーフォリントは、ユーロ圏への輸出の伸びが期待できるほか、原油価格の下落の恩恵を受けられるため、今後上昇の可能性がありそうです。

 

 

全体的に見た場合、世界経済は拡大局面で、かなり良い環境と思われます。エネルギー資源価格が長期で下落傾向のため、産油国と非産油国間では景況感の違いが大きくなる可能性はありますが、それ程世界景気には影響を与えないと考えています。

心配される点は、新興国では、国・企業・個人共に債務が拡大している点、主要国ではアメリカを中心に個人消費が伸び悩んでいる点です。この辺りは、随時データを確認していく必要がありそうです。

 

今後の予測ですが、アメリカドルの動きに注目点です。利上げ局面にあるのですが、実質金利はそれ程変化がないという状態になっています。FRBメンバーが強気の景気判断をしているため、利上げは順調に進むと思われますが、為替への影響は軽微な者と思われます。貿易赤字も大きくなってきたため、アメリカドルの上値は重くなりそうです。アメリカドルが高値圏にあるという認識が重要になってきそうです。

中長期的にはユーロが安値圏も、いつ上昇するかは予測するのが難しい環境。日本円は足下のリスクオンムードが終了してからが面白そうです。

新興国では、エネルギー資源価格下落の恩恵を受ける通貨の上昇を予測するのが、うまみが大きいかなと考えています。

 

 

 

明日からは、個別通貨の2017年後半の動きを予想します。

 

 

| コラム | 08:49 | comments(1) | trackbacks(0) |

買いたい通貨・売りたい通貨2017.3

2017年も四半期が過ぎたということでまとめです。

 

昨年末の予想からの大きな変更点では、原油価格の想定です。需給環境が想定ほど締まらなかったため、原油価格は値下がり傾向です。この状況では、産油国通貨に対する見方は、一段階下げるべきと思われます。上半期は、産油国通貨買い・アメリカドル売りをベースと考えていましたが、この想定を替えなければなりません。

アメリカが利上げを行いましたが、この影響は軽微でしょう。アメリカドルの上値の重い動きは続きそうです。足下のアメリカドルの下落は、政局がらみであるため、この動きがメインでは無いと思っています。もう少し中長期での弱気相場を見ています。

 

ここからの動きですが、ユーロを中心に考えます。現在割安水準で金融政策もこれ以上は緩和的になりにくいため、ここからの大幅下落を考える必要が無いのが強みです。足下でインフレ率が上昇傾向のため、その金融政策も変更の可能性があります。ECBはテーパリングなどの金融緊縮化は否定していますが、実際には国債の買い入れ量を減少させる段階に来ていると思われます。いつぞかの日本円と同じように、為替が急に上昇局面入りする可能性を想定しておくべき環境です。原油価格の上昇が抑えられていることもユーロの買い材料になります。

 

アメリカドルが下落目線・ユーロが上昇目線と、ユーロドルの上昇がここからの基本になると思われます。世界の主軸通貨ペアであるため、動きはどうしても緩やかになりそうですが、リスクの低い理想的な組み合わせではないでしょうか。

 

 

 

★買いたい通貨

・ユーロ(EUR)

ここからの取引の中心に考えたい通貨です。長期にわたり下落していたため、現在の水準はかなりの割安となっています。貿易収支・経常収支が中期で大幅に黒字であるため、上昇しやすい環境で、リスクの少ない通貨です。金融政策が現状はかなりの緩和的なため、実際の上昇のタイミングをつかむのが難しいですが、ここから数年は、上目線で想定して行きたいところです

選挙などの政治リスクのため、短期の下落の可能性はありますが、下値は限定的でしょう。ユーロドルでパリティ程度までの想定でいいと思います。

 

・日本円(JPY)

ユーロと同様、中期的な大幅下落のリスクが少ない通貨です。リスクオフ局面で大幅に上昇するため、そういった局面を想定し、保有していきたいところです。

リスクとしては、輸入額に占める、天然資源の割合が高いため、資源価格が高騰した場合などには注意が必要になりそうです。

 

・オーストラリアドル(AUD)

石炭と鉄鉱石価格が大きく上昇したため、交易条件が大幅に改善されました。昨年までは、大幅な経常赤字となっていましたが、これが一気に黒字化する勢いです。

キャリートレードとみられる資金が入ってきているため、リスクオフの環境で資本流出の可能性があり、この場合は下落派も大きくなります。また、資源価格に対する依存が高いため、この動きには注意が必要です。できるならば、一度下落していただいた方が、買いやすい通貨です。

 

 

 

★売りたい通貨

・アメリカドル(USD)

昨年の大統領選挙後に値上がりしたため、割高水準にあります。貿易収支も悪化しており、ここから為替が大きく上昇することは考えなくても良さそうです。

アメリカの経済自体は良いため、下落は緩やかになると思われます。これまでは、海外からの資金流入で、為替水準や株価を支えている面が強かったのですが、長期金利が株式の平均利回りを上回ってきたため、この資金の流れがどう変化するのかを気をつける必要がありそうです。

 

 

・ニュージーランドドル(NZD)イギリスポンド(GBP)トルコリラ(TRY)

特に強い理由はありませんが、割高水準で、これから交易条件が悪化すると思われる通貨です。

 

 

 

★その他注目の通貨

・中国人民元(CNY)

資本流出の拡大が注目されていましたが、昨年末辺りからの規制強化が功を奏したようで、資本流出は収まったようです。貿易収支が少し悪化していますが、まだそれ程気にする水準ではないかと思います。

 

・南アフリカランド(ZAR)

昨年後半からの最強通貨です。そろそろ天井を見ていいかなと考えていたのですが、どうもそんな気は無いようです。もうしばらくは上昇するのかもしれません。水準はやや割高と見ていますが、貿易収支の改善が想定よりも大きく、案外強い可能性もありそうです。

 

・メキシコペソ(MXN)

昨年大きく売られた通貨ですが、このところは好調で、対アメリカドルで、最安値から10%以上上昇しています。産油国通貨としては厳しい面もありますが、さすがに売られすぎ感はあり、もう少し上値の余地はあるのかもしれません。

 

 

| コラム | 09:41 | comments(0) | trackbacks(0) |

イギリスポンドは復活するか

イギリスのEU離脱が来週にも正式に通達され、離脱交渉がいよいよ始まるようです。昨年は大きな話題となったイギリスポンドですが、その現状を調べます。

 

 

イギリスポンドは、昨年5月のEU離脱の国民投票で、大きく下落しました。下落幅は、実質実効ペースで2割となっていて、現在も、ほぼこの水準で推移しています。この水準は、リーマンショック直後とほぼ同じで、イギリスポンド史上最安値付近と考えられます。通常の先進国通貨ならば、ここまで下落すれば割安になっていると思われるのですが、どうも、そう簡単ではないようです。

 

イギリスの経常収支は2015年がGDP比−5.2%でした。これは先進国としては、異常値といってもいいほど悪い値です。この貿易環境で、通貨の維持は困難です。昨年の大幅下落は、この貿易の弱さが本質的な原因でした。成長力のある産業が乏しいのも問題ですが、必要以上に高い生活水準がより大きな問題なのだと思います。

通貨ポンドが下落したため、直近では、経常収支・貿易収支はやや改善傾向にあります。輸出が大きく増えているのですが、輸入やや増加傾向にあり、まだ大きめな、経常・貿易収支が残っている状態です。これでは、現在のポンドの水準ですら、持続不可能と言っていいと考えられます。

今後期待できる産業としては、シェールガス・オイルの採掘があります。イギリスは現在も産油国ですが、シェール開発はまだほとんど手つかずになってます。埋蔵量はソコソコあるようで、アメリカ企業辺りが開発をはじめれば、産業として成り立つようです。

 

イギリスは海外からの直接投資を多く受け入れていて、これが経常赤字を穴埋めし、通貨を支える構図になっています。この投資は、昨年の国民投票後も続いていて、この投資水準が続くようであれば、ポンドの水準も維持が可能だと思われます。

しかし、投資資金というのは何らかのリスクオフ環境になった場合は急速に細り、逆に出ていく資金が多くなるものです。次にイギリスポンドが下落するのは、この投資資金が流出する時期ではないでしょうか。ただ、その時期がいつになるのかというのは、推測するのが非常に困難なものです。

 

 

現状では、イギリスポンドが復活する可能性は低いと思われます。これからも、しばらくの間は低迷しそうな雰囲気です。隣のユーロ圏は、経常収支の改善が顕著になっていて、ここに差ができてしまっています。イギリス経済は進化が必要な段階ですが、今回のEU離脱は、その方向を逆に向けている気がしてなりません。

 

 

| コラム | 08:26 | comments(0) | trackbacks(0) |

北欧通貨の分析

スウェーデンクローナとノルウェークローネの話です。

どちらの通貨の国も、世界的に見て最も豊かな国ですが、経済的にはノルウェーの方がより豊か泣くにとなります。ただし、スウェーデンの方が人口が多く、経済規模では勝っています。また、スウェーデンの方が、経済・貿易の面でユーロ圏により近い関係になります。

産業の違いとしては、ノルウェーはエネルギー資源の大輸出国で、他には金融や観光が主な産業になっています、スウェーデンはエネルギー資源を中心に資源は輸入しているものが多く、工業国としての色合いが濃くなります。

 

 

スウェーデンクローナは、近年は下落傾向です、ユーロの下落に伴った動きと見て取れます。マイナス金利や量的緩和など、緩和的な金融政策も目立ちました。経済は、失業率の低下・対外債務の減少と強い面と、貿易収支の悪化という貿易面の弱い面が共存しています。2013年頃からの資源価格の下落は、スウェーデン経済に追い風ですが、国内の輸出産業の競争力が低下しているようです。ポーランドやハンガリーなど、人件費が安い東ヨーロッパの国々で、より高度な工業化が進んでいるため、スウェーデンの工業は厳しい環境に立たされることになったと思われます。

為替が下落傾向にもかかわらず、貿易収支が悪化しているのは、中長期的に見てもあまり良い傾向ではありません。

 

昨年12月にスウェーデン中央銀行は、金融政策を変更し、国債の購入量を減少させました。いわゆるテーパリングです。インフレ率が1.8%まで上昇し、今後も上昇する可能性が高いため、この影響を抑えるための措置と思われます。現状まだ、政策金利は緩和的な水準ですが、今後の動きが注目されます。

 

 

ノルウェークローネは、天然ガス価格に大きく影響を受けます。2014年頃に天然ガス価格が大きく下落したため、ノルウェークローネも大幅な下落となりました。昨年は2月に天然ガス価格が底を打ったため、上昇傾向となり、今年に入ってからは、天然ガス価格は低迷、ノルウェークローネも不安定な動きになっています。

経済状況は、失業率とインフレ率がここ数ヶ月下落傾向です。また、貿易収支が足下で改善傾向を見せています。

 

天然ガス価格の先行きですが、シェールガス開発が活発になり、天然ガスはやや余っている印象です。中期的に上値が重い状況が続きそうです。ノルウェーのガス田は北海海底でコストが高く、競争力はそれ程高くありません。また、採掘量も減少中です。2019年に新規の大きな開発があるようですが、基本的には減少傾向が続き、これはノルウェーの輸出額に大きな影響を与えそうです。

ノルウェークローネ自体は、貿易収支の改善が顕著なため、ここからの短期の大幅下落はないのかなと思います。積極的に持つ必要があるのかは微妙な状況ですが、どちらかというと買い目線でいいと思います。より長期(数年単位)で保有する場合は、注意が必要になりそうです。

 

 

 

北欧通貨は先進国であるためか、値動きはそれ程大きくなく、あまり極端な動きも見せません。明らかな割高・割安になる可能性も少なく、投資対象としては難しい面もあります。ただこうして、定期的に情報を分析することで、数少ない投資機会を探っていければと思っています。

 

 

| コラム | 19:09 | comments(0) | trackbacks(0) |

アメリカドルをもう一度確認

FOMC前ですので、為替は方向感のない動き。本格的な動きは来週以降でしょう。アメリカの利上げは確実という前提で、アメリカドルの動きと、その他の通貨への影響を考えます。

 

 

アメリカドルは、昨年のアメリカ大統領選挙後に急伸、アメリカドルインデックスが101ポイント台と、ここ数年の高値圏で推移しています。経常収支・貿易収支の赤字幅を見ても、割高感が拭えません。雇用統計発表後のアメリカドルが下落で反応したのを考えると、利上げは織り込み済で、今回の利上げでアメリカドルが上昇する可能性が低いと考えられます。もちろん、利上げ発表後急伸する可能性は見ておかなければなりませんが、短期的な動きになると予想します。

中長期でも、アメリカドルが上昇する理由はありません。アメリカの利上げは、リーマンショック後3回目で、本格的な利上げ局面に入っています。今後も政策金利は順調に上昇し、今年4回の利上げも考慮に入れる必要はありますが、インフレ率の上昇ペースが早いため、緊縮的な金融政策になっているとはいえず、為替の上昇要因にはなりにくいものと思われます。

今後の動きは、いわゆる天井を探す動きになると思われます。急落はしないけれど、上値は重く、金利は上がるけれど、通貨は下落するといった状況ではないでしょうか。

 

アメリカの利上げといいますと、2013年のバーナンキショックのような、新興国や資源国からの資本の流出が心配されますが、今回はその心配は必要ないと考えます。あのときはアメリカドルが低水準で、アメリカドルの上昇を伴う、政策金利の変更でしたが、今回は、すでにアメリカドルが高値圏であるため、そのような新興国からアメリカへの資本の動きは起こりづらいと思われます。一部、南アフリカやニュージーランドなどでは、これまでの資本の流入が大量だったため、これの巻き戻しはあるでしょうが、大きな動きにはならないのではないでしょうか。

 

 

アメリカドルの下落の代わりとして上昇する通貨としては、ユーロを予想します。

ユーロは、しばらくは選挙などの政治的な理由で不安定な動きを見せる可能性はありますが、経済状態を材料にする場合、下落する理由は少なく、現状が底値近辺とみて良いと思われます。ただし、ECBの金融政策を見ても、ユーロを上昇されるような意識は低く、上昇の動きはかなり鈍くなる可能性はあります。

 

その他、資源国通貨として、オーストラリアドルが面白いと考えます。

石炭・鉄鉱石価格の上昇の恩恵を受け、交易条件が改善、貿易収支が大幅な黒字になっています。資源価格が不安定なため、上下の動きが大きくなりそうですが、中期的に見て楽しめそうです。

 

 

雇用統計もそうですが、いろいろな経済指標を見ても、アメリカの景気は良いと言っていいと感じます。株式市場はバブルの懸念はありますが、その他は順調で、不安材料が少ない環境です。この場合、アメリカでは個人消費が増え、貿易収支が悪化するのでないでしょうか。現状は2005年とか2006年のような感じなのかもしれません。大きなリスクはもう少しだけ、先になるようです。

 

| コラム | 15:11 | comments(0) | trackbacks(0) |

コモディティ価格の変化と為替

WTIが1バレル50ドルを割り込みました。一時48ドル台を付け、これは、昨年11月末以来の値です。昨年2月以降上昇を続けていた原油価格が、調整局面を迎えたことになります。また、貴金属・ベースメタル・農作物・食肉などのコモディティも下落基調にあり、相場が一変したように見えます。

 

 

原油価格の下落は、石油在庫の増加が材料になりました。今年に入ってからは、OPECの減産の影響もあり、在庫の減少が予想されていましたが、在庫は増加が続いています。OPECの減産自体は順調のようですが、ロシアが想定ほど減産していない他、OPEC外各国の生産量が増加しているようです。アメリカのシェールオイルも増加中です。

原油先物市場では、投機的な動きが価格に与える影響が日に日に大きくなっています。今年に入り、大口投資家の買越しポジションが過去最高を更新し続けていたため、これがこれまでの原油価格を支えてきました。しかし、足下では巻き戻しの動きも出てきていて、この動きが続くようですと、原油価格の下落は一時的に大きくなる可能性も考慮する必要がありそうです。

 

貴金属価格の動きは、アメリカの利上げの影響だと思われます。金利の上昇が見込まれるため、金利のつかない貴金属は相対的に売られやすい環境にあります。また、株式市場も含め、相場が全体的にリスクを積極的にとる段階にあるようで、この状態では安全資産としての貴金属は厳しいことになります。

 

そのほかに気になるところでは、鉄や銅価格といった産業用コモディティの下落です。新興国での需要が価格を決める大きな要素になっているですが、これが下落しているということで、新興国の景気が心配されます。昨年は中国が景気対策として、インフラ投資を活発に行っていましたが、これが今後どうなるのか見極める必要がありそうです。ただここら辺の価格の下落は一時的なものの可能性もあります。

 

為替市場への影響ですが、これまで相場を牽引してきた、ロシアルーブルなどの産油国通貨はとりあえず一旦お休み。すぐ大幅下落するとか、先行き弱いというわけではないため、様子見といった状態でいいと思います。オーストラリアドルや南アフリカランド、ニュージーランドドルあたりは個別に見ていきたいところです。例えば、オーストラリアドルでは、昨年来の鉄鉱石や石炭の価格上昇が織り込まれていない部分もあり、上昇の可能性もあります。どちらにせよ、貿易収支を含め、経済統計への反映を待ちたいところです。

輸入国側では、日本やユーロ圏には本質的に好材料、新興国ではポーランドやトルコで交易条件の改善が考えられます。これまで、資源価格の上昇に苦労していた通貨には、一服感がありそうです。

 

 

正直個人的には、今年前半ぐらいは原油価格が高めで推移し、WTIが60ドルになるところまで見ていました。そのため、現状には戸惑っているといいますか、やや準備不足の面があります。ちょうどFOMC直前で、アメリカの利上げ局面あるため、アメリカドルの動きを含め、為替市場全体を見直すにはよい機会です。資源国を中心に中長期の予想を立て直してみたいと思います。

 

| コラム | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
■ LATEST ENTRIES
■ CATEGORIES
■ ARCHIVES
■ SEARCH
■ LINKS
■ PROFILE